PSA異常の方が前立腺生検を受けるか悩んだ時に読むページ

癌の可能性が高い人だけに日帰り6箇所生検を行っている横浜市都筑区の木村泌尿器皮膚科です。
健診でPSA異常を指摘され、入院検査を指示されて悩まれている方に読んで欲しいページです。

前立腺ガン

症状

 前立腺ガンでも、前立腺肥大症と同じように前立腺が張れるので尿が出にくくなるのですが、ガンの多くは尿道から離れた所から発生するため、早期には尿道が圧迫されず,肥大症ほど著明な症状が出ないことがあります。前立腺ガンが進行し骨に転移を起こし、神経痛のような骨の痛みから発見されることもあります.骨がもろくなり骨折したりすることもありますが、このような症状ででてくるのはほとんどが進行した場合です。

診断法

 最近は住民健診や人間ドックで,血液検査で前立腺抗原(PSA)が調べられるようになり,無症状で見つかる前立腺ガンが増えています.  前立腺抗原というのは,前立腺の細胞の中だけで作られている蛋白のことです.

ではなぜ蛋白のことを抗原というのでしょうか.それは,ある臓器にだけある物質を発見するのに,別の動物の抗体を使うからです.アレルギーに詳しくて,抗原という言葉にこだわってしまう人のために,ちょっと説明しておきます.興味のない人は読み飛ばして下さい.

 免疫反応を起こすものを抗原,その抗原を処理するために体の中で作られた物を抗体といいます.いろいろな病気を起こすウイルスは抗原,その病原菌をやっつけるために体の中で作られるのが抗体です.抗体は本来自分の体にないものが,入ってきたとき,それを攻撃するために作られます.そして,抗体は抗原と,ちょうど鍵と鍵穴のようにぴったりと結合します.  人間の前立腺をすりつぶした物を,兎に注射しますと,人間の蛋白質は兎にとって異物ですから,それに対する抗体を作ります.前立腺はいろいろな蛋白から出来ていますので,前立腺をすりつぶした物を注射された兎も多数の抗体を作ります.この中には,前立腺だけでなく,肝臓や皮膚にもある蛋白に対する抗体もあります.そして,前立腺だけに結びつく抗体を探し当てると,この抗体が結合する相手は前立腺の中だけにしかない蛋白ということになります.この蛋白のことを,前立腺特異抗原(PSA)と呼ぶわけです.  したがって,PSAの血液検査というのは,患者さんの血液のなかに,この抗体と結びつく物質がどれくらい含まれているかを調べるわけです.検査に使う抗体の種類によって正常値は異なりますが,血液1ml中にPSAが0.00001ミリグラム以上含まれていると前立腺ガンが疑われることになります.

治療法

前立腺がんの治療法には、手術・放射線・内分泌療法(ホルモン療法)があります。
治療法は、病期や年齢などを考慮して、選択することになります。

病期Bには、前立腺全摘術もしくは放射線療法、内分泌療法が行われます。 前立腺全摘術は、全身状態が良好な75歳くらいまでの患者さんが対象となります。 放射線療法には、外照射と内照射(小線源療法)があります。 内照射は、がんの悪性度(グリーソン・スコア)やPSA値が低い場合に限られます。

前立腺全摘術に関する最近の話題
前立腺全摘の生存率向上の効果は僅かだったという論文
前立腺がんのロボット手術:ダヴィンチによる腹腔鏡手術
七山セミナーで前立腺全摘除術後の治療戦略についての市民公開講座
”精嚢へ浸潤している”と言われた
初期だった様ですが ガンは皮膜を越えておりました。退院後10日目の検査でPSAが0.4
放射線等に関する最近の話題
小線源療法 小線源療法におけるD90とV100なる数値の意味
高密度焦点式超音波治療(HIFU)に興味
手術をしないで放射線治療にかえたらいいと言われた
2人の先生の見解が違うので悩んでおります
放射線の場合、週4日、1ヶ月半程度、病院へ通えばいい

病期Bでも高齢者には内分泌療法が選択されることが多いです。

がんが前立腺の外に浸潤している病期Cには、内分泌療法を単独あるいは放射線療法と組み合わせて行います。
転移のある病期Dには、内分泌療法を行います。

前立腺は精液を作る臓器ですから、男性ホルモンの命令を受けています。前立腺がんも男性ホルモンの影響を受けて増殖しています。 内分泌療法(ホルモン療法)は、男性ホルモンの分泌や働きを抑えることによって、前立腺がん細胞の増殖を抑制しようとする治療法です。
前立腺ガンは、早期には症状がないため、前立腺抗原(PSA)が調べられていなかった時代には進行した時点で発見されることが多く、このため前立腺を摘出する手術が行われることは少なく、 両側の睾丸を摘出し、女性ホルモン剤の内服あるいは注射療法が行われていました。これは,男性ホルモンがガンの発育を促進し、女性ホルモンは逆にガンの発育を抑えるからです。 月1回もしくは3ヶ月に1回の注射で両側の睾丸を摘出したのと同じ効果がある注射薬(リュープリン・ゾラデックス)が今は広く使われています。

生活上の注意

 尿の出が良くなったからと言って,勝手に薬を飲むのをやめてはいけません.前立腺をとる手術も,睾丸をとる手術を受けていない人が,女性ホルモン剤を服用しなくなると,たちまちガン細胞が勢いを盛り返してしまいます.そして,尿の出が悪くなるのに気づかぬうちに,骨への転移が広がることがあります.  最近、尿が出にくいなどの症状が出ると、肥大症だと自己診断し、漢方薬が効くと人から聞いて,薬局で漢方薬を購入し安心している方が増えています。前にも書きましたが,肥大症の症状でも同時にガンがかくれていることも少なくないのです。このような症状があった場合、早めに泌尿器科医を受診するようようにしてください。  ガンが骨に転移していても痛みがない場合は、患者さん自身は病気が発見される前と同じ生活を続けたがりますが,骨転移の程度によっては骨折の可能性もあり,医者からスポーツについて制限を言い渡された人はそれを守るようにしましょう。

予防法

 現在のところ有効な予防法はありません. 早期発見には,検診が大切です。症状がなくても五十歳以上の男性は,血液検査の前立腺抗原(PSA)を調べてもらうことをお勧めします.  前立腺ガンでも、前立腺肥大症と同じように前立腺が張れるので尿が出にくくなるのですが、ガンの多くは尿道から離れた所から発生するため、早期には尿道が圧迫されず,肥大症ほど著明な症状が出ないことがあります。前立腺ガンが進行し骨に転移を起こし、神経痛のような骨の痛みから発見されることもあります.骨がもろくなり骨折したりすることもありますが、このような症状ででてくるのはほとんどが進行した場合です。  最近は住民健診や人間ドックで,血液検査で前立腺抗原(PSA)が調べられるようになり,無症状で見つかる前立腺ガンが増えています.


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