A 前立腺肥大症や膀胱癌などの手術で摘出した前立腺内に病理検査でたまたま癌がみいだされたもの。
A1 ごく一部のみに、高分化癌を認める
A2 広い範囲に認める病変、または中ー低高分化癌
B 前立腺の中に限局している腫瘍で転移のないもの
B1 片葉に限局する最大径1.5cm以下の腫瘍
B2 両葉に浸潤しているか、最大径1.5cm以上の腫瘍
C 前立腺の被膜をこえて周囲に浸潤しているが、転移のないもの
D 転移のある腫瘍
D1 所属リンパ節に転移を認める
D2 骨などに遠隔転移を認める
臨床病期分類は手術前の診断に基づいて分類されている。 A2はBやCより早期とは限らない。Aの定義が、手術前に前立腺癌と診断されていなかったというだけのことだからである。 例えば、ある患者が尿が出にくいといって、泌尿器科を受診。診察した医者が前立腺肥大症と診断して 手術した結果、前立腺癌だとわかると、A2に分類される。同じ患者が、別の医者にかかり、その医者が 念のために、癌かどうか生検しておこうという方針だと、同じ患者がB2に分類されることになる。
手術前の病期診断(前立腺の中に限局しているかどうかの検査)は、PSAの値、
触診、
超音波検査などをもとにするが、
手術前に病巣の広がりを正確に把握することは現状ではできない。
そのため、手術前の病期診断と手術後の病理検査でわかる病期とは必ずしも一致しない。特に顕微鏡で見て初めてわかるような
リンパ節転移が、手術前には診断できないことは少なくない。
術後の病理検査でリンパ節転移が発見される割合は、発表した施設間でばらつきがあるが(施設毎に臨床病期分類を決めるためにどこまで検査するかにばらつきがあるため)、病期A2で3.3-53%、B1で5.3-17%、B2で5.3-29%、Cでは53-56%と報告されている。