泌尿器科医・木村明の日記

副交感神経の応援団がザルティア。


一酸化窒素を分泌する副交感神経が前立腺を支配している。

土曜日は東大泌尿器科同門会に出席。 1週間前のザルティア講演会のトップバッターだった先生に直接質問できました。

NO(一酸化窒素)を分泌する副交感神経が前立腺に入っている、 と明言されました。

なのでこんな模式図を作ってみました。
1.交感神経は膀胱を弛緩させる。その伝達物質はアドレナリン(β3)。
2.交感神経は前立腺を収縮させる。その伝達物質はアドレナリン(α1)。
3.副交感神経は膀胱を収縮させる。その伝達物質はコリン。
4.副交感神経は前立腺を弛緩させる。その伝達物質は一酸化窒素。

過活動膀胱治療薬には、
膀胱を収縮させない抗コリン剤(トビエースベシケアネオキシテープなど)と、
膀胱を弛緩させるβ3作動薬(ベタニス)とがある。

前立腺肥大症治療薬には、
前立腺を収縮させないα1ブロッカー(ハルナール、フリバス、ユリーフ)と、
前立腺を弛緩させる一酸化窒素応援団(ザルティア)とがある。

副交感神経から一酸化窒素が放出されると、 前立腺平滑筋でサイクリックGMPが作られます。
サイクリックGMPは細胞内のカルシウム濃度を下げ、 平滑筋を弛緩させます。

PDE5はサイクリックGMPを分解する酵素です。
PDE5が頑張るとサイクリックGMPが減ります。
PDE5阻害剤があれば、サイクリックGMPは働き続けられます。

PDE5阻害剤であるザルティアは一酸化窒素を応援する薬です。

2014年6月9日