間質性膀胱炎
排尿痛・残尿感・下腹部痛・頻尿など、
細菌性膀胱炎に似ていますが、
尿検査で細菌は証明されず、抗生物質の治療は無効です。
粘膜だけでなく、その外側の間質や筋層などにまで炎症が及んでいて、膀胱容量は縮小しています。尿がたまって膀胱が充満してきたときのほうが下腹部痛は強く、
排尿とともに軽減するという特徴があります。
メトロガイド2009年2月号の間質性膀胱炎の記事
これは自己免疫疾患の代表、SLEの患者さんに見られた間質性膀胱炎の病理組織像です。粘膜下の間質に著名な浮腫像を認めます。
狭義の間質性膀胱炎はこのように自己免疫などアレルギーが関与して起こる膀胱炎のことです。
しかし、アメリカでは間質性膀胱炎という病名はもっと広い意味で使われています。
すなわち、尿意切迫感・頻尿や下腹部や会陰部の疼痛を伴い、感染や特異的な病理所見を伴わない膀胱の疾患をアメリカでは間質性膀胱炎と診断しています。
一方、ヨーロッパでは頻尿で苦しむ人たちは
「過活動膀胱」と診断され、間質性膀胱炎という病名は狭義の間質性膀胱炎に用いられます。
診断と治療を兼ねて麻酔下に膀胱鏡を行います。麻酔下に行なわないと低容量のため観察できません。
診察台より80cm高くした容器から膀胱内に水を流し込み、膀胱を拡張させます。膀胱鏡で粘膜の変化を観察すると、
膀胱壁が拡張されると拡張前には見られなかった粘膜の断裂や点状出血が認められます。
膀胱拡張したまま、3~5分おく(これを水圧拡張術と言います)。膀胱粘膜の機械的拡張のため2~3週間は症状が悪化します。
有効率は50~60% 程度です。
Q&A
Q.71歳の母。ここ1年ほど、間質性膀胱炎でとても痛がり、
尿が少しでもたまると痛むとのことで、しょっちゅうトイレに行きます。
膀胱鏡検査も実施しており、がんについても検査で否定されています。
間質性膀胱炎とはどんな病気でしょうか? 薬をのんではいますが、よい治療法
・対処法がないでしょうか?
A.間質性膀胱炎の症状は、排尿痛・残尿感・下腹部痛・頻尿など
で、細菌性膀胱炎に似ていますが、原因は細菌の感染ではなく
、抗生物質は効かない病気です。
膀胱は、尿に接している粘膜、排尿するときに収縮する筋肉、
そしてその粘膜と筋肉の間の間質と呼ばれる部分からできてい
ます。間質性膀胱炎は間質が原因不明の炎症を起こして伸びが
悪くなる病気です。そのため、膀胱容量は縮小します。尿がた
まって膀胱が充満してきたときのほうが下腹部痛は強く、排尿
とともに軽減するという特徴があります。
治療は、頻尿改善薬などの薬物療法を行いますが、膀胱癌でも
、癌化した粘膜が剥がれ落ちて、膀胱容量が縮小することがあ
りますので、膀胱癌でないことを確認する必要があります。
診断と治療を兼ねて麻酔下に膀胱鏡を行います。麻酔下に行わ
ないと低容量のため観察できません。診察台より80cm高くした
容器から膀胱内に水を流し込み、膀胱を拡張させます。膀胱鏡
で粘膜の変化を観察すると、膀胱壁が拡張されると拡張前には
見られなかった粘膜の断裂や点状出血が認められます。膀胱拡
張したまま、3~5分おきます(これを水圧拡張術と言います)
。有効率は50~60% 程度です。
相談されている方のお母さんは、膀胱癌ではないと言われてい
るのであれば、すでに膀胱鏡は終わっていると思われます。水
圧拡張術が効果ない場合は、内服薬で様子を見ていくことにな
りますが、劇的に効く薬がなく、長期間通院されている方が多
い病気です。
Q.間質性膀胱炎の手術は、男性の前立腺炎にも効くのでしょうか?
A.慢性前立腺炎の中には間質性膀胱炎の人がいらっしゃいます。そういう方には
水圧拡張術が効果を発揮する可能性があります。