めざせ落語家
まだ医学部の学生だった娘が、たまに
診療補助のバイト(扶養家族なので、バイト代は院長のポケットマネーから)をしていたころ、
「親父は同じ説明ばかりして飽きないのか?」なんて言っていました。
皮膚泌尿器科の病気の種類は限られていますから、半日そばにいれば、同じ説明をしているのを、聞くわけです。
でも、
家庭医学書に書いてあるような説明を流暢にする事と、患者さんの反応を見ながら、説明にバリエーションを加える事と、二つのテクニックがあると思うんです。
外来診療での話術は日々進歩です。日々勉強です。
これは、
落語家の「ジュゲム、ジュゲム」をしっかり覚えるのと、お客さんの反応を見ながら、ギャグを混ぜるのと、二つのテクニックがあるのと同じだと思うんです。
診察しながら、
亀頭包皮炎について説明したはずなのに、
ズボンのベルトを締めながら、「病気ではないんですね。」と患者さんが聞いた時、
「おい、今、亀頭包皮炎の説明をしたのは何だったんだ。」みたいな顔をしないで、
この人は何の病気を心配しているんだろう、と0.5秒で判断して、
「性病を心配しているんですか?
梅毒でも
ヘルペスでもないですよ」、
というのも、経験が必要なテクニックです。
落語を生で聞いたのは一度だけですが、テレビで見るのとは全然違っていました。
毎度同じネタでも、日々進歩です。
開業医の話術も捨てたもんじゃないよ、
勤務医とは違う進歩を日々実感できるんだよ。
埼玉に戻ってきたら、暇なときうちの診療補助をしてね。
親父が
EBMから外れたことをしていたら指摘してね。