泌尿器科医・木村明の日記


喉の淋菌:2期梅毒


今の国家試験はどのくらい難しいのか知りません。

ヒューマン・ヘルペス・ウイルスやヒューマン・パピローマ・ウイルスの番号を知っていなければならないんでしょうか?

30年前はウイルスについては、未だそんなに明らかになっていませんでした。

細菌学で知っていなければならないことは、

細菌には球菌と桿菌(細長い菌)がいること、グラム染色で染まるものと染まらないものがあることぐらいでした。

膀胱炎の原因になる大腸菌の仲間はグラム陰性桿菌、トビヒの原因になるブドウ球菌はグラム陽性球菌です。

淋菌はグラム陰性球菌です。髄膜炎菌もグラム陰性球菌で、淋菌と髄膜炎菌はナイセリア属に分類されます。

ナイセリア属には病原性のないものもいっぱいあって、主に喉のなかに大人しく住み着いているそうです。

10月30日の会では、

淋菌はCSW(コマーシャル・セックス・ワーカー)の女性の喉に無症状で住み着いている、

喉はナイセリア属には住みやすい環境だ、と教えてもらいました。

淋菌が喉に感染しても無症状なのだそうです。

勉強会にはセンター南の二つの耳鼻科の先生も参加していただけました。

淋菌が喉に感染していないか心配される方は、この先生方に紹介できるようになりました。

2期梅毒では体や手足に特徴的な皮疹が出ます。

皮膚泌尿器科を標榜していると、あまり症状がない皮疹をすごく気にして来院される方がおられます。

「先週、ここに皮疹が出ていた。今は消えている。今はかゆみもない。」

今は異常がないので、検査も治療も必要ない、と説明すると、

「今週に入って尿道がむずがゆい気がする。時々風俗に行っている。」と、来院された理由がやっとわかることがあります。

インターネットの掲示板には、梅毒と尿道炎を混同した書き込みも多いので、

遊んだ後の陰部の不快感と、この前出ていたけど気にしなかった皮疹を結びつけて、恐ろしい病気にかかっていないか、心配されての来院のようです。

クンニリングス、という言葉があるのを10月30日の泌尿器科医会講演会で勉強しました。

以前私が開いていた掲示板に「クンニした」という書き込みを見たことがあり、どんな行為かだいたい想像はしていましたが、

Fellatioの対義語でcunnilingusというちゃんとした言葉だったんですね。

「ハッテン場、って知ってますか?、知らない人」、と尾上先生に言われて私は正直に手を挙げました。

いろんなことを教えてもらえた第2回泌尿器科医会講演会でした。