私が漢方薬をよく処方するのは慢性骨盤疼痛症候群です。
Pict特にエコー検査で前立腺周囲の静脈洞が見えると駆オ血剤を処方します。
駆オ血剤には桂枝茯苓丸、加味逍遥散、当帰芍薬散、桃核承気湯などがあります。
漢方薬は、自然の草や木からとった「生薬」の組み合わせでできています。
桂皮にはのぼせやイライラを発散する作用があります。 | |
芍薬は生理痛や肩こりなどの痛みをやわらげる生薬です。 | |
茯苓には気分を落ち着け余分な水分を取り除く作用があります。 | |
桃仁や牡丹皮には血液循環をよくする作用があります。 | |
当帰と川きゅうには、血行をよくして貧血症状を改善し、体をあたためる作用があります。 | |
蒼朮・沢瀉は、茯苓と同じく漢方の代表的な利尿薬で、むくみ症状を改善したりします。 | |
大黄・芒硝は漢方の代表的な緩下薬で、便通をつけたり、熱や炎症をしずめる働きをします。 | |
甘草には緩和作用があります。
これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。
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2018年6月20日 (水)は青葉区医師会館での循環器研修会に参加。
前半は医師会館近くで最近開業された漢方専門クリニック院長による『循環器と五臓:心(シン) 』。
漢方医学というのは中国から日本に伝わった中国古来の医学を元に江戸時代に独自に発展したもの。
中国黄河領域で発展してきたのが中医学で、このクリニックの院長が学んだのは中医学の方。
鍼治療にも力を入れているそうで、
針の太さは髪の毛ぐらい、先はまるい(注射針のように尖っていない)ので、血管や腹膜を貫くことはない、
というのを教えてもらえました。
後半は東海大学医学部専門診療学系漢方医学講師による『 ありえるか循環器に漢方治療ここまでできる=患者満足 』。
講師は元々循環器内科医。
理屈っぽい人(失礼!理論的思考の持ち主)が循環器科を専攻する印象。
私の偏見です。
証に基づく処方の話ではなく、生薬の薬理作用の説明が主で、理解しやすい内容でした。
最後に漢方薬の循環器領域での副作用の話。
甘草の薬効成分はグリチルリチン。
偽性アルドステロン症をおこす。
麻黄の薬効成分はエフェドリン。
血圧上昇や排尿障害を起こす。
葛根湯にも麻黄が入っているのですね。
前立腺肥大症の人が風邪の時に安心して飲めるのは、桂枝湯ですね。
2018年冬の都筑漢方勉強会のテーマは三国志 曹操の時代に張仲景が編纂した『傷寒論』。
2017年夏の都筑漢方勉強会は耳鼻科のドクターによる症例提示。
喉の詰まった感じに、最初は半夏厚朴湯が有効であったが、再発した後は無効で、大柴胡湯が有効だった症例。
2016年11月の横浜北部消化器病研究会では君子湯は胃を動かすのに有用、十全大補湯は腸を動かすのに有用というお話。
2013年9月の都筑漢方勉強会の頃は、慢性前立腺炎の患者さんは激減し、今は桂枝茯苓丸を処方することはかなり減った時期でした。
2013年4月の都筑漢方勉強会では、漢方薬を海外で発表する際、Chinese herbal medicineとすべきか、Japanese herbal medicineとすべきか、 質問させてもらいました。
2008年6月の都筑漢方勉強会は、釣藤散という頭痛に使う薬の話でした。
2008年3月の都筑漢方勉強会では、桂枝湯と麻黄湯を混ぜた桂麻各半湯などという処方の話は、漢方薬二つを混ぜると、中身の生薬の種類と比率はどうなるの? みたいな勉強をしました。
泌尿器科医・木村明の日記(2009年10月25日)
水曜は青葉区医師会館で、以前青葉区内で働いていた先生による講演を聴きました。
抑肝散に含まれる生薬にはメマリーに似た作用がある、等
エビデンスに基づくお話でした。
今回はお弁当を食べながらの会で、懇親会は無しの形式でした。
水曜日に青葉区学術講演会に参加し始めた動機は、翌日が休診日なので、懇親会で遅くなっても大丈夫だから。
平成最後に出席した講演会は懇親会なしでした。
残念!
2019年4月25日