泌尿器科医・木村明の日記


夏休みは包茎手術


私がネーベンとしていろんな病院をローテートしていたころ、夏になれば、小児泌尿器科の手術がありました。

7月23日から8月中旬までの夏休みの手術希望は2~3ヶ月前から予約しておかなければ小児ベッドが確保できないぐらいでした。

国立小児病院(今は別の国立病院と統廃合されました)だけの話ではありません。

三井記念病院や都立駒込病院のような普段は前立腺肥大症の手術をしている病院が、夏休みは、尿道下裂や停留精巣や包茎の手術で忙しかったのです。

医局のローテーションからはずれ、青山病院東京共済病院に勤めた頃から、夏は小児泌尿器科ということはなくなりました。

渋谷近辺は子供が少ないのかな、と気にも留めませんでしたが、少子化が始まっていたんですね。

今は尿道下裂や停留精巣は小児病院に勤める医者がやる手術になったようです。

子供が減る → 子供の特殊な病気の頻度が減る → その治療を経験したことがある医者が減る。

昔なら、どの泌尿器科医でもできた手術が小児病院でしかできなくなりました。

小児の特殊な病気を治療できる医者が減る → 先天性疾患の子を持つ親は遠距離通院を強いられる。

先天性疾患の患者さんをちゃんと診ることができる医療機関がそばにはないなあ、

30年前ならどこの総合病院でも大丈夫だったのになあ、

この退化は、小児の保険点数を突然上げても数年で取り戻す事はできないだろうなあ、

と昨日感じたのでした。具体的な話は書けませんが。



「停留精巣」や「小児泌尿器科手術」で検索したらこのブログがヒットしてしまった方へ。

小児の停留精巣、精巣水腫根治術、包茎の手術は横浜労災が再開したようです。

尿道下裂を手術してくれる病院はないんでしょうか。今、「尿道下裂 横浜」でぐぐったらこんなページしか出てきませんでした。