腎尿管結石・前立腺癌・肥大症の診断が得意な超音波医学会専門医。
慢性前立腺炎は臨床無知のくずかごが検索エンジンで上位に戻ってきました。 そのせいで、ずいぶん遠方からセカンドオピニオンを求めて来られた方が。
少なくとも前医が3人いらっしゃるようですから、セカンドではなくフォースオピニオンと言うべきかも。
患者さんが記憶を基に話される内容ですので、本当に前立腺液の細菌培養検査を受けていないのかはわかりません。
患者さんの言うことを鵜呑みすれば、ある医者は細菌検査は行わず、グレースビットを2週間処方したそうです。
(グレースビットは前立腺炎の適応を取っていないので、横浜だと査定されます。長野はOKなのでしょうか?というのは余談です。)
初診時のエコーで前立腺体積は二十数ミリリットルだったのが、グレースビットを飲んだら、体積が十数ミリリットルになったので、もう治ったと言われたそうです。
私は前医を批判しない方針です。特に前立腺炎のセカンドオピニオンの方には。さらにドクターショッピングを続けるきっかけになるので。
前立腺液の細菌培養検査をやらずに抗生物質を処方する医者がいても批判しません。非細菌性前立腺炎でも短期間の抗生物質投与は有効なことがありますから。
でも前立腺計測で博士号を取り、超音波診断(を含む画像診断)が腫瘍マーカーのPSAに敗れた後も、PSA densityを正確に測るために前立腺計測の誤差について研究してきた私には、譲れないこともあります。
慢性前立腺炎では前立腺は腫大しません。平均値で1ミリリットル大きいですが、有意ではありません。
日本泌尿器科学会さらに前立腺計測では3軸を直交するように測らないと30%の誤差が生じます。
前立腺炎の治療効果判定に前立腺超音波計測を用いるのはナンセンスです。
2015年2月10日