5ミリメートル間隔にて撮影した前立腺超音波像の辺縁輪郭をトレースしてマイクロコンピューターに順次入力することにより、 前後径左右径比、仮想円面積比、楕円変形度、重量を、前立腺がん13例、前立腺肥大症21例、前立腺炎30例、正常51例で計測した。
重量と仮想円面積比は 前立腺がんと前立腺肥大症で高値を示した。 前後径左右径比は前立腺がんで最も高く、前立腺肥大症が次に高く、前立腺炎、正常例で低かった。 楕円変形度は前立腺肥大症で低値を示した。
次に 判別分析の手法を用いて、これらの計測項目に前立腺がんの診断上の貢献度に応じた適切な係数を乗じて加算することにより前立腺がんで特異的に高値となる得点を求めた。 この結果、癌ースコア=0.169x前後径左右径比+0.133x仮想円面積比+0.0086x重量-0.0083x楕円変形度を得た。
癌ースコアは前立腺がんと前立腺肥大症の分離が不十分だったが、前立腺がんを前立腺炎及び正常例より分離するには有用であった。
次に癌ースコアの有用性を調べるため、あらたに別の前立腺がん22例、前立腺肥大症36例、前立腺炎52例、正常79例について検討した。
この結果、癌ースコアは前立腺がんを前立腺炎及び正常例より分離するのに有用であることが示された。