腎尿管結石・前立腺癌・肥大症の診断が得意な超音波専門医。
保土ヶ谷区の病院の病診連携の会に先週金曜初参加しました。
案内が来るのは今回2度目だと思います。
場所が横浜駅かみなとみらいだったので、前回は欠席。
今回はテーマ(前立腺癌の新薬)と講師(大学の准教授から最近開業された先生)に興味がありましたが、
やはり遠いし、金曜日に帰宅が遅くなると土曜日の5時間休みなし外来が辛いので、迷っていました。
そうしたら、2度目の案内が。
是非出席お願いしますとのこと。
この病院はTURBOを積極的に行っている病院だと知ったこともあり、参加することにしました。
テーマは前立腺癌骨転移の患者さんに使う放射能を持つ注射薬:ゾーフィゴ。
骨転移の場所に取り込まれて、放射線で腫瘍細胞をやっつける薬です。
同じような作用機序の薬にストロンチウムがあります。
ストロンチウムが出すのはβ線、ゾーフィゴに含まれるラジウムが出すのはα線。
ストロンチウムは疼痛軽減の効果しか認められていませんが、ゾーフィゴは生存率も改善します。
スカンジナビア泌尿器科学会でアビラテロンのコングレスバッグをもらって帰ってきたのは2013年。
アビラテロンやエンザルタミドが日本でも発売された2014年には、英字論文を読んで、日記ネタにしたこともありました。
でも、それから3年過ぎました。
なので、海外の最新の臨床研究を次々紹介される、講演にはついていけませんでした。
参加者はほとんどが勤務医。
開業医は多分5人ぐらい(講師を含めれば6人?)。
プログラムのタイトルをよく見たら、病診連携会ではなくて、医療連携の会。
ランドマークタワー25階というので、展望の良い部屋かと思ったら、オフィス階の中の窓のない会議室。
タワーの中で迷子になって、なかなかたどり着けなかったし、来るんじゃなかった、と思ってしまいました。
ところが、Oncotargetという雑誌名が耳に入ってきてから、その部分だけ一生懸命聞きました。
骨転移がある症例に、前立腺全摘をして、ラジウムを注射してみた、という論文が、Oncotargetの今年の4月号に出たのです。
骨転移のある前立腺癌はホルモン療法が第1選択。
去勢抵抗性になったら、抗がん剤やアビラテロンやエンザルタミド。
講演の後で質問もさせてもらいました。
まだ去勢抵抗性になっていない症例を対象にした少数のパイロットスタディみたいでした。
この論文を根拠に、転移があっても原発巣を手術で切除して、骨転移にはラジウムを、という治療をする医者が現れるかも。
そういう医者はかならずこの論文を引用するはず。
そうするとOncotargetという雑誌のインパクトファクターが高くなる。
実は娘の論文をアクセプトしてくれたのが、このOncotargetなのです。
娘の論文:A genome-wide association analysis identifies PDE1A|DNAJC10 locus on chromosome 2 associated with idiopathic pulmonary arterial hypertension in a Japanese population
の価値も上がるはず。
しかし、骨転移があっても原発巣を取りに行く論文と肺高血圧症患者の遺伝子異常の論文を載せる雑誌って、どういうコンセプトの編集者なのでしょう。
2017年9月11日