日本泌尿器科学会が新しい専門医制度にも対応した学会員向けの総合的な教育関連サイトJUA academyを立ち上げました。
JUA webinerの初回は、膀胱癌の病理について病理のドクターが解説してくださいました。
病理のドクターは、膀胱癌だけを見ているわけではありません。
むしろ胃がんや大腸ガンの切除標本を見ている件数の方が圧倒的に多いわけです。
膀胱癌の内視鏡切除標本でのがん細胞の浸潤度判定の難しさは、腫瘍と筋層を一塊で切除できていないことに起因している、という話を聞いて、
泌尿器医の手術方法の進歩も必要だなあ、と感じました。
早期胃がんを内視鏡で粘膜だけを剥ぎ取る手術(EMRとESD)は日々進歩しています。
筋層が薄く穿孔しやすい大腸がんでも内視鏡で粘膜下剥離手術(ESD)で一塊で切除する病院が出てきています。
ただ肛門や食道からなら卵くらいの塊でも引っ張り出せますが、大きな膀胱がんを尿道から一塊で取り出すのは無理です。
でもその制約を言い訳にして、いつまでも砕石位で硬性鏡で腫瘍をかき出す手術を続けていたら、
いずれ内視鏡外科とか、ロボット外科とかができて膀胱癌の手術もそこの医者がやるようになってしまいかねません。
泌尿器ガンの抗がん剤療法も腫瘍内科にお任せすることが多くなった今、手術も他の科にお任せしては泌尿器科医の仕事が縮小してしまいます。
P.S.
今月開かれる日本泌尿器科学会東部総会の抄録が届きました。
横浜市立市民病院は一塊での切除手術をすでに多数経験されているようです。
泌尿器科医の未来について悲観しすぎたかも。
2017年9月5日