アトピー性皮膚炎
アトピーという言葉は本来「奇妙な」と言う意味を持ち、アトピー性皮膚炎は原因のよく分からない疾患として位置づけられてきましたが、
生まれながら、皮膚機能がうまく働いてくれない為に生じる皮膚炎と言うことがわかってきました。
正常な皮膚のいちばん外側は、角質層と呼ばれ、外的刺激をブロックするバリア機能を持っています。
ところがアトピーの人は、このバリア機能が壊れていることが明らかになってきました。
天然保湿因子の材料となる
フィラグリンというたんぱく質の異常がアトピーの最初の引き金の可能性があるのです。
天然保湿因子が不足するとバリア機能が壊れ、アレルギーを起こす種々の物質(アレルゲン)の侵入を許してしまいます。
さらに、掻くという行為が皮膚のバリアーの破壊につながります。痒くて掻く以外に、習慣で掻くことも少なくないことが、患者さんからのインタビューで明らかになっています。
掻くことによるバリアーの破壊を防ぐには、かゆみ止めの薬や、習慣化した行為を止めるための精神面のケアが必要です。
アレルギー反応を引き起こすIgEという抗体がアトピーの人の血液中に増えていることは以前から指摘されていました。
IgEは抗原にさらされるとすぐに蕁麻疹がでて痒くなるような即時型のアレルギーに関係する抗体です。
アトピーという慢性湿疹でIgEがどのような悪さをしているのかは、いまだ不明で、IgEはアトピーの原因ではなく、アレルゲンの侵入の結果かもしれません。
アトピーに対しての治療はステロイド外用剤が中心となります。
新聞やテレビなどでステロイド外用剤は悪役のように叩かれた時代がありましたが、上手に使えばステロイド外用剤は決して怖いものではありません。
お風呂での洗い過ぎもバリアーの破壊につながります。体の汚れは石鹸を泡立てて手でなでるだけで充分落ちます。
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洗面器にお湯を少し入れ、
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ボディーソープを加え、
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手で空気を入れて、泡立てます。
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泡が完成。
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泡で優しく洗います。
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アトピー性皮膚炎で患者にとってかゆみはもっとも辛い症状ですし、かゆみが我慢できず掻き壊すと、皮膚炎はさらに悪化します。
かゆみを医学的に説明すると「掻きたいという衝動を引き起こす感覚」です。
皮膚の表面にみられる特有の感覚で、寄生虫などの侵入を知らせるためのものです。
寄生虫が皮膚から入ろうとしているとき、蚊が血を吸おうとしているとき、その部位を無意識に掻くと、外敵を退治できますから、生体防衛反応のひとつなわけです。
アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が障害されているために、ダニ・花粉・ホコリなどが表皮の中に入り込みます。
そして神経がそれを取り除くべき外敵と判断すると、「掻きたいという衝動」を引き起こすのです。
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