泌尿器科医・木村明の日記


全身性エリテマトーデス(SLE)


平成16年10月(開業半年前ですでに開業準備に入っていたころ)、ある学会で発表した演題が「ループス膀胱炎」でした。

間質性膀胱炎で発症し、その後、関節炎を併発して、全身性エリテマトーデス(SLE)と判明した症例を報告しました。

この時ですかね。全身性エリテマトーデスの診断基準を人前でしゃべれるぐらい勉強したのは。

全身性エリテマトーデスはアメリカリウマチ学会の基準で診断されます。11項目(蝶形紅斑、円板状紅斑、光線過敏症、口腔内潰瘍、関節炎、しょう膜炎、腎障害、神経障害、血液学的異常、免疫学的異常、抗核抗体)のうち4項目満たす場合診断されます。

学生時代に不思議に思ったのですが、膠原病の診断というとアメリカリウマチ学会の基準が登場します。

リウマチという言葉は、関節リウマチという狭い意味で使われるときと、リウマチ性疾患という広い意味で使われるときとがあり、リウマチ性疾患という場合は膠原病も含むわけです。

アメリカリウマチ学会は膠原病全体を守備範囲としているわけです。

泌尿器領域(男性・非露出部)の皮膚科医から、オールマイティーの皮膚科医になるためには、まだまだいろんな分野を勉強する必要があります。

全身性エリテマトーデスのような膠原病は開業医が診ていくことは少ないので、その勉強は、私の中では優先順位が低かったのです。

私が今詳しくなるべきは、炎症性角化症(尋常性乾癬・扁平苔癬・掌蹠膿疱症)だと思っていました。

でも、乾癬の勉強会に行ったら、関節リウマチの勉強が必要なことがわかりました。

つまり炎症性角化症の勉強を、リウマチ性疾患(膠原病も含む)の勉強と切り離す事はできないわけです。

炎症性角化症をうろでるプレスのテーマにできるくらいレベルアップするには、膠原病やサルコイドーシスや結核にも詳しくならなければなりません。

皮膚科を標榜してしまった泌尿器科医は免疫学を必死に勉強しなければなりません。