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木村明:からだと心 健康相談 Q&A
すこやかファミリー3月号,30-31,2009.



Q.急性膀胱炎から「過活動膀胱」に。治るのか不安

  26 歳、女性。1カ月ほど前に、急性膀胱炎に なりました。2週間ほどで治ったのですが、そ の後も残尿感や頻尿がつづき、症状が改善され ず、今度は「過活動膀胱」と診断を受け、泌尿 器科に通っています。「過活動膀胱」は治るも のでしょうか? なかなか症状が改善されない ので不安です。 (埼玉県 J)


A.薬と生活指導でかなり改善される。ただし、治療には時間がかかる

過活動膀胱とは「急に尿意をもよおし、我慢 するのが難しい」「トイレが近い」「急にトイレ に行きたくなり、我慢ができず尿が漏れてしま うことがある」などの症状を示す病気です。   膀胱には、尿をためる(畜尿)という役目と、 たまった尿を全部出し切る(排尿)という役目 があります。排尿時には膀胱壁の筋肉が収縮し ます。畜尿期には、膀胱の筋肉は収縮しません。 しかし、尿が少したまった段階で、大脳の命令 をきかずに膀胱が勝手に収縮するのが、過活動 膀胱の原因と考えられています。膀胱内の圧が 突然上昇しますので、尿が漏れないように、意 識的に尿道を締めなければなりません。尿道の 力が弱ければ、漏らしてしまうことになります。  膀胱が大脳の命令をきかずに勝手に収縮する 原因には、脳出血やパーキンソン病のような神 経の病気などがあります。若い人では、原因が ない場合もあります。  治療には、膀胱の収縮を抑える抗コリン薬 が使われます。排尿日誌(丸1日、計量カップ で毎回の尿量を記録する)をつけると、1回の 排尿量や1日の尿量がわかります。1日尿量は 1・5リットル程度が普通ですが、1日尿量が 2リットル以上の方には、飲水制限を指導しま す。薬と生活指導で、過活動膀胱の症状はかな り改善されます。ただし、一定期間薬をのめば、 それで治り、薬を中止できるかというと、これ は一般論では難しい、ということになります。 とくに脳出血のような病気がベースにある方で は、薬を中止できない場合が多いようです。   一方、ご相談者のように若く、原因になる病 気がない場合は、薬を中止しても再発しない方 もいます。ただし、症状が落ち着くまで薬をつ づけ、様子を見ながら薬を減量していくので、 しばらく通院する必要があります。