当科では1980年1月より1985年8月までの間に685例の患者に対し計1194回の経直腸的超音波断層検査を行い、 得られた断層像より前立腺重量、前後径左右径比、仮想円面積比等を計測してきた。
前立腺がん症例19例、手術適応となった前立腺肥大症症例4例、前立腺炎症例145例、正常例180例の計測結果を集計し、 以下の知見を得た。
1 前立腺炎症例では正常例に比べ重量は低値、 前後径左右径比、仮想円面積比は高値を示したが、いずれも有意ではなかった。
2 前立腺がん症例、前立腺肥大症例とも、正常例前立腺炎症例に比べ、重量、前後径左右径比、仮想円面積比がいずれも有意に増加していた。
3 前立腺がん症例では前立腺肥大症症例に比べ、前後径左右径比、仮想円面積比の増加の割に重量があまり増加せず、 また仮想円面積比が同程度であっても 前後径左右径比がより増加していた。