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ホルモン感受性が高いと考えてよいのでしょうか?
以下は26歳の方からのメールです。
父(60才)がリンパ節転移の前立腺癌(低分化)と診断されました。
治療前のマーカー(PSA)が150で20日間の女性ホルモン療法で7となり、
その後のLHRHアナログによる治療で治療開始から2ヶ月後の現在では1.8になりました。
父の癌は低分化癌であると診察されておりますが、
ホルモン感受性が高いと考えてよいのでしょうか?
コメント
比例ハザードモデル で解析すると、grade(癌の分化度)は、生存率に影響しません。
私の著書 「尿の悩みを解決する本」 <教育書籍> の112ページに病理検査の説明が書いてあります。病理診断医がgrade(癌の分化度)を決めるのですが、ある症例の分化度が判定する医者によって異なることもあります。
分化度が生存率と相関するというデータを出している論文は、その対象の患者の組織標本を1カ所の施設に集め、一人の病理診断医がすべてをもう一度見て、grade(癌の分化度)を決めています。
一人の医者が一気につけたgrade(癌の分化度)でないと、生存率との相関は出てこないのです。同じ大蔵省の監査でも、3月と9月では、不良債権の分類が、第3分類になったり第2分類になったりするように、ある症例を未分化癌と診断した医師が同じ標本を後日見せられると中分化癌と診断することもあるのです。お父さんのは、ホルモン依存性の癌であり、予後は良いと思います。