2003年にDr.Nickelは、
慢性細菌性前立腺炎,非細菌性前立腺炎,前立腺痛という分類を揺るがす論文を発表しました。会陰部や下腹部,陰嚢部などに鈍痛や不快感を訴えている人たちと、同じ世代の無症状の人たちで、前立腺分泌液のなかの白血球,菌を調べた結果を比較したものです。
症状のある人たちと、対照群(無症状の同世代)とで、菌の発見率が同じだったのです。この研究の与えたインパクトは大きいものです。
慢性細菌性前立腺炎,非細菌性前立腺炎,前立腺痛という分類が無意味で、すべてまとめて
慢性骨盤疼痛症候群と呼ぼう、前立腺の炎症が原因かどうかもわからない、という状況になっています。
2010年4月の日本泌尿器科学会に来日した
Dr.Nickelは
慢性前立腺炎(慢性骨盤疼痛症候群)は一つの病気ではない、6つの要素があるとし、新しく
雪の結晶仮説を提唱しました。
左の図のように、前立腺炎の原因を雪の結晶に例えています。
内科や脳外科を受診しても異常がない、と相手にしてもらえない頭痛の患者さんに例えて、「A Headache in the Pelvis(骨盤の頭痛)」という名前の解説書も現れました。
chronic pelvic pain syndrome(慢性骨盤疼痛症候群)の人に、
精神的ケアと骨盤底筋の緊張を解す体操を指導する大学病院がアメリカに現れています。