木村泌尿器皮膚科

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超音波医学会専門医。腎尿管結石・前立腺癌・肥大症の診断が得意です。 膀胱炎・尿道炎・男子不妊症では、院長自身が顕微鏡検査(尿・精液)を行います。 ここは、院長ブログの原稿倉庫です。

Göteborgのactive surveillance論文


[木村泌尿器皮膚科公式ブログ]

サンネフヨル(NUF2013)から帰国したあとで、Göteborgからactive surveillance論文が出ていたのに気付きました。

Outcome following active surveillance of men with screen-detected prostate cancer. Results from the Göteborg randomised population-based prostate cancer screening trial. Godtman RA, Holmberg E, Khatami A, Stranne J, Hugosson J. Department of Urology, Institute of Clinical Sciences, Sahlgrenska Academy at the University of Göteborg, Sweden. Eur Urol. 2013 Jan;63(1):101-7.

Active surveillance (アクティブサーベイランス) とは大人しそうな早期がんを無治療経過観察すること。 この論文の基になったデータは、今もPSA検診を推進している日本泌尿器科学会にとってのバイブル:イエテボリ論文

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日本泌尿器科学会が「イエテボリ」と呼ぶので、ここではGöteborgはイエテボリ。 ちなみにCongress dinnerで隣に座ったスェーデン人はギョーテボルグと発音しているように聞こえました。我々向けに英語読みしたのかも。

50~64歳のGoeteborg市の男性20000人を二つに分け、片方にはPSA検診のお誘いの手紙を送り、同意した7500人をPSA検診群。 2010年にLancet Oncol. に載った論文は、PSA検診群と対照群とを比較した論文。

今回は、7500人のPSA検診群で検診がきっかけで癌が見つかった968人での治療法を検討しなおした論文です。 PSA検診群で癌になった人は1138人(対照群は718人)ですが、今回の対象は、PSA検診がきっかけで見つかった968人のみです。

439例(45%)がアクティブサーベイランスされていました。 3か月ないし12カ月ごとに通院してもらい、PSA・悪性度・病期が進行したら、積極治療に変更する方針でフォロー。

162例(37%)が積極治療に変更され、39人が治療失敗(アクティブサーベイランス中に進行癌に)していました。 アクティブサーベイランスでの10年生存率は81.1%、治療なし生存率は45.4%、治療失敗なし生存率は86.4%でした。

PSA検診で見つかる癌の多くは、アクティブサーベイランスで管理できるというのが結論の論文でした。

2013年9月5日の院長ブログ原稿


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