腎尿管結石・前立腺癌・肥大症の診断が得意な超音波医学会専門医。
55~69歳に推奨されているPSA検診。
面倒見のよい企業は、若年者にも健診の時オプションでPSAを測ってくれるようです。
なのでPSAが4以上の若年者が、時々お見えになります。
前立腺体積を測って肥大がないか、検尿で膀胱炎がないか、調べます。
射精直後に健診を受けたかもしれないので、PSAの再検もします。
それでも、PSA高値の原因を説明できる所見がない時、 申し訳ありませんが、
「がんを否定するための残されている選択肢は前立腺生検です。」
と生検を受けるかどうかの判断を患者さんに委ねています。
「40代では何人か癌が見つかりましたが、30代では皆無です。」、 という追加説明も必ずしています。
「30代の人にも何人か生検を行いましたが、癌が見つかった人はいません。」 と説明してきましたが、30代に何人生検したんだろう。
6月29日、暇だったので集計してみました。
これまでの10年間に行った299例の前立腺生検のうち30代は8例でした。
どなたも癌は見つかりませんでした。
8例中6例が今も当院に半年ごと通われています。
再生検が必要とされている生検時の1.5倍(PSA値の話)になった方はいません。
30代の人は健診でPSAを測らないでほしいです。
でも30代で健診を受けてしまってPSAが高かった人に
「あなたは癌ではない!」
と言いきれないのに困っています。
なお、299例というのは再生検はカウントしていません。生検数は300を超えています。
ここに書いたのと数が違うのはそのせいです。