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泌尿器科医・木村明の日記(2015年6月30日)

腎尿管結石・前立腺癌・肥大症の診断が得意な超音波医学会専門医。


30代の前立腺生検は8例。

299例の前立腺生検のうち30代は8例でした。

55~69歳に推奨されているPSA検診。

面倒見のよい企業は、若年者にも健診の時オプションでPSAを測ってくれるようです。

なのでPSAが4以上の若年者が、時々お見えになります。

前立腺体積を測って肥大がないか、検尿で膀胱炎がないか、調べます。

射精直後に健診を受けたかもしれないので、PSAの再検もします。

それでも、PSA高値の原因を説明できる所見がない時、 申し訳ありませんが、

「がんを否定するための残されている選択肢は前立腺生検です。」

と生検を受けるかどうかの判断を患者さんに委ねています。

「40代では何人か癌が見つかりましたが、30代では皆無です。」、 という追加説明も必ずしています。

「30代の人にも何人か生検を行いましたが、癌が見つかった人はいません。」 と説明してきましたが、30代に何人生検したんだろう。

6月29日、暇だったので集計してみました。

これまでの10年間に行った299例の前立腺生検のうち30代は8例でした。

どなたも癌は見つかりませんでした。

8例中6例が今も当院に半年ごと通われています。

再生検が必要とされている生検時の1.5倍(PSA値の話)になった方はいません。

30代の人は健診でPSAを測らないでほしいです。

でも30代で健診を受けてしまってPSAが高かった人に

「あなたは癌ではない!」

と言いきれないのに困っています。

なお、299例というのは再生検はカウントしていません。生検数は300を超えています。

ここに書いたのと数が違うのはそのせいです。