腎尿管結石・前立腺癌・肥大症の診断が得意な超音波専門医。
水曜日は都筑区の大学病院と青葉区の大学病院と港北区の総合病院と泌尿器科開業医を対象にした勉強会でした。
豊洲の教授がホルモン療法の有効性には人種差があるとの説明。
その上で前立腺がん診療ガイドライン改訂作業において、海外でのランダム化比較試験というエビデンスだけで、推奨度を決めてよいのか、というお話でした。
限局性前立腺癌にホルモン療法を行うことを推奨しているのは日本だけ。
海外のランダム化比較試験では有効性が証明できていません。
日本ではランダム化比較試験は少ないです。
国民皆保険だから、臨床試験に協力してもらえれば薬代がタダになります、と言っても、くじ引きで治療法を決めるのに同意してもらうのは大変なんです。
ランダム化比較試験はないけど、ホルモン療法が有効なことを示唆する試験はかず多くあるのです。
ただエビデンスレベルは低いと言われてしまうんですね。
日本人にはアメリカ人よりホルモン療法がよく効くというデータはあります。
でも、日本人の限局性前立腺癌にホルモン療法を行えば、行わない場合と比較して予後を改善した、というデータはないのです。
ランダム化比較試験の裏付けがなければ推奨グレードはBにはできません。
2016年の診療ガイドラインではC1ということになりました。
海外での前向きランダム化比較試験と、日本での対照群なしの臨床研究とを、どう折り合いをつけるかのお話でした。
2017年9月18日