泌尿器科医・木村明の日記


人生設計とPSA


[木村泌尿器皮膚科公式ブログ]

2011年10月7日、米政府の予防医学作業部会は、前立腺がんの検診で使われているPSA検査について、すべての年齢の男性に対して「検査は勧められない」とする勧告案をまとめました。
検査で見つかる前立腺がんの多くは進行が遅く、放置しても寿命には関係しないとの主張です。
以前にも書きましたが、前立腺がん検診は、年間死亡者数よりも1桁多いがん患者を発見してしまう、という大きな問題があります。
ですから、当院で見つかった100例の方のうち、何人が命拾いしたのかはわかりません。
私自身がPSAを測定したのは、開業するかどうか迷っていた時でした。
勤務医を辞めた(失業した)途端、癌が判明したら困りますから。
PSA検診を受けるかどうかは、ライフプランによって、各人が決めるべきでしょう。
今年は受験生がいるから、家族みんなでインフルエンザワクチンをしておこう、
みたいに、科学だけでなく、戦略的な発想も必要です。