泌尿器科医・木村明の日記


都筑区医師会第116回学術講演会



[第107回][第106回]

昨日はHPV-16・18ワクチンの勉強会でした。

子宮頸がんの原因の99.9%が、HPV(ヒューマン・パピローマ・ウイルス)の感染。

100種類以上あるHPVのうち16番と18番の感染症が子宮頸がんの原因の70%と判明。

なので、性交渉が始まる前の時期にHPV-16・18ワクチンを接種すれば、子宮頸がん70%減らすことができるのです。

ここまでは分りやすい話でしたが、講演が終わってからの、質疑応答で、訳が分らなくなってしまいました。

もう子宮頸がんと診断がついていて、円錐切除を受けた人がワクチン接種を希望したら、接種をする意味があるか、みたいな質問(勘違いかも?)。

意味はある、との回答(?)。

ワクチンを接種して抗体価を上昇させること、の意味は何なのか考えているうちに質疑は進みます。

抗体価を上昇させることの意味には、

ウイルスを侵入させないため、というのと、

侵入を許した後も身体中に広がらないため、

というのがあるみたいです。

新型インフルエンザワクチンを、誰に優先的に接種するか、についても、ワクチンの目的をどう考えるか、に関係します。

子供達に流行していた時期に、流行をストップさせるためなら、

子供に接種するのが合理的。

気道にくっついたインフルエンザウイルスが血液に乗って身体中に広がるのを防ぐために、ワクチンをして抗体価を上昇させるという考え方なら、

抵抗力の弱い人に接種するのが合理的。

昨日の会は、小児科や内科の先生も出席されていてハイレベルな質問も。

すでに局所感染している状態でも、ワクチンを筋肉注射して血中の抗体価を上昇させることが、重症化させないための手段になりうるようです。

予防医学も奥が深いなあ、と感じただけの勉強会になってしまいました。

なので、昨日の講演内容のサマリーは書けません。

体の中にすでに侵入しているウイルスと戦うために、わざわざワクチンを注射する必要があるのか。

これが分れば、

水痘ワクチンを、高齢者に注射して、帯状疱疹(水痘にかかったときから体に潜んでいるヘルペスウイルスの再活性化)の予防ができるか、の論議も理解できるんでしょうね。