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刑事コロンボのような記者


私は売れっ子の医者ではありませんが、でもそこそこマスコミミニコミの取材を受けます。ほとんどの記者はノートを広げ、質問してはメモを書き、最後にメモに目を通して、何か聞き忘れた事がないか、チェックされます。

10月下旬の読売の医療ルネサンスは「様々な種類があるがん検診には、がんの死亡率を下げるのに有効とされる方法がある一方、有効性が不明確なものも多い。がん検診をどう利用したらよいかを考える」という内容でした。

私が会った読売新聞の記者の人が、医療ルネッサンス全体の責任者かどうかは知りませんが、10月22日から2週間続いた「がん検診」の責任者だったのは確かです。

ノートは持っていましたが、そんなにメモは取らず、インタビューというより、雑談をしている感じでした。彼ぐらいの肩書きの持ち主なら、厚労省の班研究のまとめ役をした人も、泌尿器科学会のトップも、時間を割いて会うはずです。事実、ここに名前が出ている人や、垣添忠生先生にもインタビューしています。

「私は開業してから、Journal of Urologyも読まなくなりましたし、PSA検診が寿命を延ばしたかどうかの最近の論文は知りません。チロル地方の論文までしか知りません。」と私がいうと、「いや、チロルの論文をどう解釈するかは、班研究のまとめ役の先生内藤先生ではまったく逆です。」と彼が逆に私に教えてくれます。

そんな感じで彼が聞いて私が答えるのではなく、雑談(時には、「教授たちの話ではなく、実際に患者さんを診ている先生の話は大変参考になります。」などと煽ての言葉も)しているうちに、なぜか、PSAが高いながらも生検しないで様子を見ている人の話題が出たのです。その記者はそこに食いついてきました。

刑事コロンボが「うちのかみさんがね・・・・」と雑談をしながら核心に迫るように、あの記者は有能な人なのでしょう。生検しないで様子を見ている人を紹介してほしいと言われ、10月22日23日に医療ルネサンスに登場してくださったお二人を紹介しました。

そのお二人の、その記者に関する感想も私に似たものでした。「雑談だけされて帰られましたが、あれで記事になるんでしょうか?」

垣添忠生先生にも取材を申し込める人ですから、PSA検診で早期発見され、手術で完治した人を紹介してほしければ、垣添先生に頼めば良いわけで、彼の頭の中では、私に会いに来る前に、ストーリーはできていたのかもしれません。

10月29日の胃がんの記事は他の記者が担当しています。「胃がん 内視鏡検査、見逃しも」という記事に即した患者さんを紹介してもらえなかったのでしょうか、内視鏡検査で早期発見され命拾いした人が登場しています。

全国紙の人気シリーズを任される人は、有能なんですね。刑事コロンボに会えてよかったです。もちろん、私は犯人ではありません。誰かに恨まれるような証言もしていません。たぶん。

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