腎尿管結石・前立腺癌・肥大症の診断が得意な超音波医学会専門医。
日本高血圧学会は2016年8月15日、学会誌「Hypertension Research」に2010年に掲載された千葉大学のディオバン研究「VART Study」の主論文について、撤回(retraction)とすることを公表しました。
2013年に複数の大学のディオバンに関する臨床研究で不正が明らかになり、京都府立と慈恵医大の論文はすぐに撤回されましたが、千葉大の責任者は撤回に同意していませんでした。
私なりに勉強し、2014年にはVARTは取り消し不要と考えるようになっていました。
統計手法に稚拙さがあるだけで、ねつ造したデータではなさそうなので。
でも、「適切に訂正することができないhonest errorがある」のだそうです。
STAP細胞に隠れてしまったディオバン事件ですが、医者と製薬会社との関係を見直す大きなきっかけとなりました。
製薬会社の社員が共同著者となって、ディオバンに都合のよいエビデンスをねつ造。
そのエビデンスをMRから聞かされた実地医家はアムロジンではなくディオバンを処方。
この事件をきっかけに、MRは添付文書に書かれた以外の効能効果を実地医家に紹介できなくなりました。
添付文書に書いてない作用についての臨床研究のデータが聞けるのは、共催メーカーなしの純粋な学会のみになっていくのでしょう。
2016年8月20日