プロペシアと前立腺癌

2012年、プロペシアの添付文書が自主改正され、 プロペシア(フィナステリド)による前立腺癌予防試験で、 グリーソンスコアが高い(悪性度の高い)前立腺癌の発生率は、 むしろプロペシア群のほうで高かったことが、書き加えられました。
2003年の論文ですし、プロペシアがグリーソンスコアを上げた訳については


2009年の私のブログにこんな図を書いて、 プロペシアはグリーソンスコア8の部分を見つけやすくしただけで、 グリーソンスコア8の癌を増加させたわけではない、と説明しておりました。
2012年の自主改正で、2003年の論文のデータを載せた理由は、
Theoret.M.R. et al:
The risks and benefits of 5α-reductase inhibitors for prostate-cancer prevention.
N.Engl.J.Med.365(2):97.2011
という論文が2011年に発表されたせいでした。 プロペシアとザガーロ(デュタステリド)を前立腺がん予防目的で使うべきではない、 というFDA寄りの論文です。
その論争の過程で、プロペシアの添付文書に、 悪性度の高い前立腺癌の発生率が上がったとの報告があると、書き加えられることになったようです。 FDAはプロペシアを適応外の目的(前立腺がん予防)で飲むな、とのメッセージを発信したいのです。
ザガーロ(デュタステリド)による前立腺癌予防試験でも、 グリーソンスコアが高い(悪性度の高い)前立腺癌の発生率は、むしろデュタステリド群のほうで高かったこともわかっています。


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