Q.45才男性です。慢性前立腺炎(症?)と診断されてから数年です。症状はペニス付け根の持続性痛みです。検尿では白血球(1+)から(-)、前立腺圧出液中の白血球はA医院では少しあり、B医院では(-)と言われました。最近調子が悪く、セルニルトンとクラビットを飲んでいますが効果を自覚できません。アメリカの文献(Int Surg 1998 83 347-9)で前立腺に抗生物質(ゲンタマイシン)を局所注入すると90%の患者で効果があったと書いてありましたがどうでしょうか? もし効果が本当なら、日本ではそのような治療を行っているところはあるでしょうか?
A.ゲンタシンの局注のことは初耳ですので、勉強しておきます.
P1."アメリカの文献(Int Surg 1998 83 347-9)"というものを読んでみたいのですが、どういったものでしょうか?入手/アクセスは難しいものですか?確かにUSでの研究や治療については関心があります。以前本屋で立ち読みした本の中に「アメリカ国立衛生研究所が前立腺炎の治療方法開発に?ドルかの予算をつけた(orつける)」という文を見たことがあります。(再確認した折りにはより正確にUPします。)経口による抗生物質の投与が前立腺に届きにくいという話はよく耳にするので、「直接注射」というのは素人なりに同じことを考えたことがあります。他にも海外情報やアクセス手段についてご存知の方いらっしゃいませんか?
Q.Mayersak JS. Transrectal ultrasonography directed intraprostatic injection of gentamycin-xylocaine in the management of the benign painful prostate syndrome. A report of a 5 year clinical study of 75 patients. Int Surg. 1998 Oct-Dec;83(4):347-9 抄録しか読んでいませんが大体以下の通りです。 良性前立腺痛症候群の患者75人に対し、160mgのゲンタマイシンと1%キシロカイン2ccを計4ccにして経直腸超音波ガイド下に経会陰的に前立腺へ局所注入した。結果は90%の患者で治癒できた。しかも74%の患者は1回の注入で治癒した。 本当なら画期的ですが、日本語の文献では同様のものは見あたりません。この成績はにわかには信じられません。文献は医学文献を扱ってる業者(ネット上にも確かあるはず)に依頼すればすぐ手にはいると思います。
A.Mayersak JS.の論文を読みました.キシロカインという局所麻酔薬注入により痛みは直後にとれた、75人中56人が1度しか治療を受けなかった、というのが事実のようです.著者はこの56人を一度の治療で治った人達,再度の治療を患者が希望するため、何度も治療を行った人達を無効だったグループとしています.私は逆のような気がするのですが。
Q.管理人様文献をお調べ頂き有り難うございました。さてもう一度自分の件ですが、慢性前立腺(今は前立腺症?)が数年経過しています。ある感染機会の数日後恥骨裏側の灼熱感と右精巣上体の腫れを自覚し、手持ちの抗生剤(ニューキノロン、ペニシリンなど)を2-3週間服用しまたが完治せず、今に至っています。現在は恥骨裏の鈍痛ないし不快感です。右精巣上体にしこりがあります。尿検査では白血球1+程度、前立腺圧出液も白血球1+(A医院)、-(B医院)で、マッサージ後の尿培養陰性です。感染症が不完全な経過をとり、細菌は検出されなくなったが、症状が残ったというように自分流に解釈しています(このWebを参考にして)。一応感染症と考えクラビット、フロモックス、クラリシッド(クラミジア対策)をそれぞれ2週間程度試しましたが効果は感じられませんでした。セルニルトンも処方されましたがこれも効果無し。マッサージも特に改善に結びつきません。安定剤が多少症状を忘れさせてくれる面で効果がありますが、本質的には変化ありません。直近の経直腸超音波検査では前立腺の推定重量が20gと肥大も合併していると言われました。治療抵抗性前立腺炎とするとあとどのような手段を試みるべきでしょうか? 1.文献にあるような抗生剤の局所注入 2.温熱治療(文献は結構あります) 3.鍼灸治療(これも文献ありです) 4.肥大もあるなら最後の手段でTURP?(稀に記載されています) 5.精巣上体を摘除する?
A.
ここをお読みください.
Q.前立腺肥大の治療としてすでに保険適応がある「経尿道的温熱療法(TUMT)」が有効であったという文献は多少あります。この方法に対する管理人様のご意見を聞いてから皆様ご判断下さい。
A.経尿道的温熱療法は25万円の治療ですが,前立腺炎には保険が効きません.前立腺肥大症も合併していると診断して、保険で治療する病院もあるようですが、肥大症は60才台の病気ですので,30歳の人に前立腺肥大症という病名をつけて経尿道的温熱療法を行うのはどうかと思います.というわけで私はやったことがありません。このページを訪れる人も、このページを見て私の病院を訪れる人もいろいろやったが治らなかった人たちがほとんどなので、経尿道的温熱療法でよくなったという人の話を聞くことはできません。
大学病院の医者で前立腺痛を研究している医者がなぜ少ないのか、もこれに関係あると思います.経尿道的温熱療法で治療をしたあと、患者が通院しなくなったら、治ったから来ないのか、良くならないから転院したのかわからず、データをまとめにくくい病気です.大学にいる医者は論文を書かなければなりませんから、治療成績を集計できない病気を研究テーマにえらばないのです。
Q.おひさしぶりです。Prostatitis2000 Why not heal it? という挑戦的なタイトルのホームページ(上記URL)を見つけました。イタリア人の医師が英語で詳しく解説しています。それによると、前立腺炎はほとんどすべて病原微生物が原因で起こっているので、細菌が分離されてもされなくても、前立腺へ抗生剤のカクテルを超音波ガイド下に局所注射すると書かれていました。しかも局所注射の場面がムービーで表示されたりしてあまりにリアルで驚きました。これをみていると何年来の前立腺炎も治ってしまうような錯覚に陥ります。管理人様の評価、皆様のご意見は如何でしょうか?(本当ならもっと普及しているはずとは思いますが)一見の価値はあります。
A.おかげでこのページもアカデミックになっていきますね。Quicktime Movieをインストールしたマシーンでビデオは後日見てみます. Prostatitis is ALMOST ALWAYS caused by microbesの根拠に Evidence of Chlamydia, Mycoplasma, Human Papilloma Virus and herpes simplex virus is very hard to obtain とクラミジアやウイルスのことを述べておきながら、no bacteria can be isolated の場合のantibiotic cocktail はtobramycine (as above) to eradicate Gram+ germs in association with aztreonam (as above) to combat Gram- germs. と細菌しか対象にしていないのが納得できませんでした。
Q.例のHPのご評価有り難う御座います。悩める者を思わず引き込むようなタイトルと内容(ムービー)で話がうますぎる気もしました。ただ前立腺炎だけであれだけ詳しく書かれた文章も珍しいのでは?さて前立腺へ抗生物質を局所注射した際の安全性はどうでしょうか?
A.ビデオ見ました。薬液は2-3mlしか入れてないようですから、そんなに恐い副作用はなさそうですね。日本で同じ治療をやっている医者がいるかどうかは知りません。
抗生物質の前立腺内注入について、アニメを作ってみました.

もし前立腺が硬い膜に覆われているだけで、中は液体のようにどろどろしたものなら、膜の内側に針を刺して抗生物質を注入すれば,全体に行き渡るでしょう.

しかし、前立腺はりんごのように硬いのです.抗生物質は針の先端あたりにしか広がりません.