木村泌尿器皮膚科

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B-1ステージと診断され、放射線治療か摘出治療かかなり悩んだ


Q.父(71才)が前立腺ガンと診断を受けました。
父

お医者さまからは、 「非常に初期の初期のガンで、よく見つかったなと思うほど。現在の検査結果では、骨へもリンパへも転移していない。治療には、摘出施術と放射線治療の方法がある。 摘出してしまえば、完全に取れるが、手術は本人の負担になるし、術後の排尿障害もないとは言えない。放射線の場合、週4日、1ヶ月半程度、病院へ通えばいいから本人は楽ではある。 私としては、どちらがいいとは言えない(どちらでもいい)ので、よく考えて選択してください。」 と言われおり、父も母もすでに放射線での通いの治療にほぼ心を固めています。
親がもう決めたことなら、そのまま受け入れたいとは思うのですが、木村先生のリンパ節転移に関する以下のご説明が気になっています。

---木村先生の記事の抜粋
そのため、手術前の病期診断と手術後の病理検査でわかる病期とは必ずしも一致しない。特に顕微鏡で見て初めてわかるようなリンパ節転移が、手術前には診断できないことは少なくない。 術後の病理検査でリンパ節転移が発見される割合は、病期A2で3.3-53%、B1で5.3-17%、B2で5.3-29%、Cでは53-56%と報告されている。
-----
父の病気レベルは、現在はわかりません。 (次回病院に行くときに確認してきてもらうつもりです。)

上記の記述で、「病期A2で3.3-53%、B1で5.3-17%、」とあるのは、A2で3.3%~53%、B1で5.3%~17%、ということですか? 百分率での幅があるというのはよく意味がわからないのですが。 上記だと、早期であるA2の方がB1よりもリンパ節転移の発見率が高いということになります。 どのように考えたらよろしいのでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが、お教えください。

A.病期分類の説明が不充分だったので、赤字の部分を追加しました.分かりやすくなったでしょうか?かえって理解しにくくなったような。質問内容がどんどん専門化してきます.

Q. 早々のご回答、本当にありがとうございました。 理解できました。 確率のばらつきは、病院によって判定方法が違うためのばらつき、と考えればいいのですね。

放射線療法

あのあと両親もいろいろな情報を見聞きし、本当に放射線療法を選択するのがいいのか、 迷い始めています。
父は71才で、年の割にタフな体力の持ち主ですが、喘息気味で薬を飲んでいます。
検査の結果は、以下の通りです。

PSA     19
生検    4採取  左に1つガンがあり、中分化、1cm以下
CT      ガンは前立腺内に治まっている
骨シンチ  骨に転移なし
骨シンチ
現在は、抗男性ホルモン薬を内服を始めています。

現在の主治医の先生は、 「治療には、摘出施術と放射線治療の方法がある。 摘出してしまえば、完全に取れるが、手術は本人の負担になるし、術後の排尿障害もないとは言えない。放射線の場合、週4日、1ヶ月半程度、病院へ通えばいいから本人は楽ではある。 ただし、放射線の方が、若干ではあるが治癒率が悪い。 私としては、どちらがいいとは言えない(どちらでもいい)ので、よく考えて選択してください。」 と言われています。こちらから、 「放射線治療の後、うまくいかないときは手術に切り替えることはできますか?」 と聞いたところ、 「放射線治療によって癒着が起こり、多少、手術が難しくなるが、まぁ、できるでしょう。」 と言われました。
ところが、後日、母が、市販の本の中に、放射線治療の後は癒着が起こり、 手術は無理である、というような記述があったそうで、たくさんの情報の中で、 かえって何を選択すればいいか、わからなくなってきてしまったようです。

そこで質問です。

1)先生でしたら、どの治療法を推奨されますか?

2)放射線治療の後に、摘出手術をすることは可能なのでしょうか?
  →放射線機材については、このサイトでご紹介いただいている駒込病院と同等クラスの
   機材がある病院だと推測しています。

3)Bステージで高分化癌の70歳以上の人は、摘出手術は不要だろうとありますが、
  これは、泌尿器学会における定説になっているようなご判断なのでしょうか?
  先生もそのようにお考えですか?

以上、たくさんあって申し訳ありませんが、是非、よろしくお願い申しあげます。

ダビンチ手術

A.
1)ホルモン療法のみか、手術か、患者さんに選んでもらいます。
PSA     19
生検    4採取  左に1つガンがあり、中分化、1cm以下
であれば、手術で癌がとりきれる可能性が高いので、放射線より、手術が向いているように思います. 前立腺だけをねらった放射線でも、必ず直腸、膀胱もやけどをします。
2)癒着していますし、放射線療法を行ったにもかかわらず、PSAが下がりきらない症例では、それから手術しても、根治的にとり切れない可能性のほうが高い (前立腺以外のリンパ節などに転移している症例であることが多いCTの所見がガンは前立腺内に治まっているであっても ) ため、放射線療法後に、手術することはまずありません。
3)平均余命10年未満では、というのがオリジナルの論文の表現です。それを一般の人にわかりやすく表現すると、70歳以上では、となります。でも、69歳11ヶ月の人に手術を勧めて、誕生日になったら、治療方針を急に変えるということはありえません。
年の割にタフな体力の持ち主であれば、手術の対象になると思います.

Q.丁寧なご回答をありがとうございました。 先生のご回答を読んでみて、 手術にするか、放射線にするかは、つきつめると、 開けてみないと発見できない、5.3%~17%のリンパ節に転移の可能性をどう考えるか、 のような気がしたのですが、この考え方は間違ってますでしょうか? (現在の主治医の方に、この可能性について質問したところ、 10%以下とおっしゃってました。) いつまでもずるずる質問を続けて申し訳ありません。

A.その通りだと思います。今夜の降水確率はお教えできますが、傘を持っていくかどうかは本人に決めていただくしかありません。

Q.娘の私としては、納得できました。ご相談してよかったです。
今日、両親が放射線治療の担当医の方から説明を受けに行く予定で、 その後、最終的にどちらの治療を選ぶか決定することになっています。
アドバイスをありがとうございました。

医師面談

Q.1ヶ月以上前、「相談室」の掲示板で、父の前立腺ガンの治療法についてご相談申し上げた「あっこ」です。ご記憶でしょうか?
父(71才)は、B-1ステージと診断され、放射線治療か摘出治療かかなり悩んだのですが、木村先生からのアドバイスや、様々な方から情報をいただき、最終的には、全摘出手術を20日ほど前に受けました。
一時は尿漏れのせいで落ち込んでいた父ですが、お陰様で順調に回復しております。
昨日、主治医の先生から、
「きれいに取れましたよ。  当初、左側に限局していると思われたガンが開いてみたら、右も怪しかったので摘出したら、  やっぱり右にもありました。(つまりB-2だった。)  リンパ等他には転移していませんでした。  取って良かったですね。」
とおっしゃっていただきました。家族としてもほっと安堵の胸をなで下ろしております。
父からも木村先生にもよくお礼を申し上げておくようにいいつかっています。
本当にありがとうございました。

掲示板を廃止されたのは非常に残念ですが、先生のご苦労を思うと、仕方がなかったのだと思っております。
先生のHP以外にも、同病の患者さんの闘病気のHPを父にたくさん見せて励ましました。
父も「インターネットってこんなに役に立つ情報がすぐに手に入るんだな。」と感心していました。

これからも先生のご活躍を陰ながら応援しております。
本当にありがとうございました。