院長が勤務医時代に作ったサイト
エストラサイトという女性ホルモンと抗がん剤を結合した薬
以下は、ある患者さんの息子さんからいただいたメールです。
以下に経緯を示しますように,この4月に父親(79歳)が入院し,前立腺ガンと
診断されました.
先生のHPを見つけ大変参考になりましたが,父の場合,ホルモン
療法の効き目が今ひとつのようです.主治医は「確かにPSA値の低下は遅いが,まだ
心配する段階ではない,何とか下げて見せます.」と仰っているようですが,先生の
HPでは内分泌抵抗性の場合はハザードが高くなることしか言えないということで,
家族としては心配です.コメントを頂ければ幸いです.なお,カプセル剤(Es-c,
401)はどんな薬でしょうか?
―経過―
1. 昨年またはそれ以前より前立腺肥大症と同様の尿の排出不具合(失禁,残尿感
等)を生じていた.
2. 今年4月総合病院で直腸指診,生研,MRI,骨シンチグラフ等による診断を
受け,前立腺ガンであることが確認されました.(PSA値:478)骨への転移は
無いと診断.まずはホルモン療法をとることとなりました.(該療法は数年で効果が
無くなる可能性があると聞かされています)
3. 最初の1ヶ月でPSA値は40台まで低下.(主治医としては"標準的な経過")
4. 2ヶ月経過したがPSAの低下率が小さくなり,40台到達後30台をキープ
.本来であれば10以下になるはず(主治医).あらためてMRI診断を受けました
.その結果,ガン組織が残っていることが認められたとのこと.それらの結果を踏ま
え,7月中旬から新規にカプセル剤(Es-c, 401)を併用することになりました.X
線療法はまだとっていません.
5. PSAは低下傾向を示したが,薬疹,頭痛がひどくなったため,カプセル剤は
中止.薬疹,頭痛は緩和しました.それ以降の薬の処方はまだ聞いておりません.
コメント
カプセル剤はエストラサイトという女性ホルモンと抗がん剤を結合した薬で、ホルモン療法単独での
効果が不充分なとき、使用されます。お父さんの前立腺には、ホルモンが効く細胞と効かない細胞が
混在しているのではないでしょうか?内分泌抵抗性の場合はハザードが高くなります。