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膀胱と尿道を吻合した部位がねじれて付着しているので、睾丸摘出術の際に直した。
以下は、44才の方からいただいたメールです。
72才になる義父はH10・5に前立腺癌の診断を受け、同年11月に前立腺を摘除しました。
その後の通院でPSA値が高くなりH11・8からホルモン剤の投与を受けていましたが、数値が下がらないため、H12・1・17に去勢術を行い 睾丸を摘出しました。
ホルモン剤の投与を受けていたH11・9頃より、肛門と陰茎付根の間に痛みが出だし特に睾丸を摘出後は時々激痛を伴うようになりました。
CT・MRI等の検査では癌の転移等はなく、泌尿器科の専門病院であったため他病院で肛門・腸等の検査も行いましたが問題ないということで、再び泌尿器科病院に戻り 種々の薬で痛みを和らげる治療を受けています。
気になるのは前立腺を摘除した時膀胱と尿道を吻合した部位がねじれて付着しているので、睾丸摘出術の際に直したと言う事と、今後放射線治療を行う(痛みをとるためか?)ということです。
思えば半年余りも痛みが続き本人が一番苦しいことではありますが、一日も早く痛みから開放させてやりたいと願っています。
先生にはお忙しい所時間を割いて頂くことに恐縮いたしますが、今までに同様の症例はあるのでしょうか、またある とすればどのような原因が考えられますか。
コメント
前立腺を全摘したにも関わらずPSAが0にならなかったということは、癌がとりきれなかった ということです。
しかも内分泌療法にもかかわらずPSAが上昇し続けているとすれば 内分泌抵抗性の癌です。
残念ながら 内分泌抵抗性であれば, ハザードは3.23倍に増えるとしかコメントできません。ご参照下さい。

CTやMRIで再発してないと言われたのは、まだ腫瘍が小さく 写らなかったのだろうと思います。
PSAが低値の時は、画像診断では 再発は分かりません。
直径2cmぐらいになればCTやMRIで診断できますが、 2x2x2x3.14/6で腫瘍体積は4ミリリットル、重さも4gにならないと診断できない ということです。
腫瘍1gがPSAを1ng/mlしか出さない(実際にはもっと 出します)としても、PSAが4ng/ml以上にならないとCTやMRIで診断できない と言うことです。
それと、睾丸摘出時に、尿道を繋ぎ直したのではなく、狭くなった部分を内視鏡で削ったのではないでしょうか。
削ったものの検査の結果、癌の 再発が確認され、放射線治療が始まったのではないかと思います。