木村泌尿器皮膚科

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オダイン錠の服薬と月1度の注射


以下は、36才の方からいただいたメールです。
前立腺ガンについてのHPを探していたところ、先生のページにたどりつきました。さまざまな患者さんやその家族からの書き込みと先生からのメッセージを読むことができ、とても励みになりました。
娘と父
 70歳になる私の父は、毎年人間ドックを受けていたのですが、2年前のドックの時に偶然「腎臓に水泡らしきものがあり、ガンの疑いがある」との診断を受け、手術をしました。結果、腎臓ガンであったことがわかったのですが、実は他にもガンがあったというのです。前立腺ガンです。腎臓についての診断と同時に前立腺ガンについての検査もしてくださっていたのですが、「前立腺のほうは急がない」との医師の判断で、腎臓の手術のあとに知らされました。腎臓の手術の際には、副腎もとったと、手術後医師が見せて下さいました。骨の検査の結果、腎臓ガンと前立腺ガンの関連性はなく、転移もないとのことでした。 針による検査では10カ所のうちの1カ所から悪性の細胞が見つかったとのことです。なんら、前立腺の不調を知らせるような症状もなく、ドックの際に偶然見つかったガンだったようです。
 腎臓の手術の後すぐに前立腺の手術をすることもはばかれたため、その後、オダイン錠の服薬と月1度の注射をしていました。昨年のオダイン錠についてのニュース報道を聞いた父が副作用を恐れたため、医師の判断で、オダイン錠の 服薬はそれ以来しておらず、月1度の注射だけを受けています。
 現在月1度の通院で経過を見て頂いています。実は父の実兄も9年前に前立腺ガンの末期で亡くなっており、父はとても自分の病状を気にしています。先日の医師の話では、「症状は落ち着いておりガン細胞の値はゼロである。手術をしても実はガンがなかったということもありうる。手術をするのであれば、今が絶好のチャンスであるけれど、絶対やらなければならないと今の段階では言い切れない」とのことでした。
 父は、体調もよく、健康な人となんら変わりのない生活を送っているのですが、頭の中には常に「前立腺ガン」のことがあり、気持ちが晴れないようです。
 血液検査の値が上がるのを待って手術をしても、遅くはないのでしょうか。医師に手術をしなければならないぎりぎりの時期を見極めていただけるのでしょうか。一度、ガンの手術をしている父だけに、しなくて済むものならば、しなくて済ませたいというのが、本人と家族の意向です。


コメント

 難しい質問で、日本にはこの質問に答えられるだけの充分な数の統計データを持っている施設はありません。
東大分院での治療成績

東大分院での治療成績のまとめを見てもらうといいと思いますが、治療法別に成績を比較するには、症例数が少ないのです。
従って、日本泌尿器科学会の権威たちも、前立腺全摘が盛んなアメリカか、医療費抑制のために症状が出るまで放置するスエーデンの論文を引用するだけです。
それで、学会などでの主流の意見は、(針による検査では10カ所のうちの1カ所から悪性の細胞が見つかったとすればまず)B1ステージで高分化癌の70歳以上の人は、摘出手術は不要だろうということです。
ただ、主流といっても、学会の1会場に泌尿器科医300人を集めて多数決をとれば、約40%がその方法に賛成する、という程度のもので、 全摘してもしなくても、他の病気で寿命がくる可能性、 B1というステージ診断が間違っていて実はリンパ節に転移していて、全摘のメリットがなかったなど、いろんな要素がありすぎるのです。
ただ、血液検査の値が上がるのを待って手術をしたら、手遅れだと思います。手術をするのであれば、今が絶好のチャンス、というのは泌尿器科医の大多数が賛成すると思います。



以下は、2回目のメールです。
お久しぶりです。5月頃に70歳になる前立腺ガンを患っている父についてのコメントを頂いた者です。私たち家族にとってはもちろんですが、それと同時に、同じ前立腺ガンで苦しむ者同士、参考になるのではと思い、とても心強く思います。その後も、折に触れ、先生のHPを見させて頂き、参考にさせて頂いています。  父は前立腺ガンを見つけていただいてから、2年半が経過しましたが、未だに月1度の注射で経過を観察していただいています。5月にここに書き込みをした際、「血液検査の値はゼロである。手術をするには絶好のチャンスだけれど、絶対にやらなければならないとは言い切れない」と医師に言われ、先生にも治療の選択肢についてのコメントを頂いたのですが、結局そのまま注射での治療を続けています。  検診には月1度、注射(恐らくRH-LHアナログというものでしょうか?)を月1度、血液検査は2ヶ月に1度です。2年半ほど前に腎臓ガンの手術をして以来、半年に1度、腎臓のあたりから、足の付け根あたりまでのCTも撮っていただいています。昨日は月に1度の検診日。CTも撮る上に、前回採取した血液検査の結果も聞く日であったため、本人も家族もドキドキでした。CTの写真の枚数は、本人が言うには30枚くらいあったそうです。結果は「CTで見る限り、腎臓も前立腺もきれい。残されたもうひとつの腎臓もよく機能している。血液検査の結果(PSA)の値もゼロ。月1度の注射がよく効いているようだ。前立腺ガンが治ったとは言えないけれど、あまりガンのことは考えずに生活してください」と言われたそうです。本人も家族も、常に余命がどれくらいかと気に病んでいるだけに、ほっとする診断でした。ただ、「コレステロールの値が高いので、そちらの方が脳や心臓など、突然の発作で亡くなる病気につながるので、気をつけるように」と言われたそうです。  そこで、先生にお伺いしたいのですが、RH-LHアナログという注射の副作用は何ですか。この注射を打つようになってから、父は太りだしたような気がするのです。特に、下腹が男性には珍しく出っ張ってきています。主治医は「単に贅肉です」と笑って下さったようなのですが、あの注射で女性のような太り方をするものなのでしょうか。どうぞ、コメントをお願いします。

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 RH-LHアナログという注射の副作用を見てください。