健康最前線

「過活動膀胱」前編

2015年5月1日  テレビ神奈川「ありがとッ」

木村泌尿器皮膚科

木村 明

『最近やけにトレイが近くなった、トイレが我慢 できなくなった…という症状を気になりながら も放置しているという方はいませんか?

これらのトラブルの原因の1つとして過活動膀胱 が考えられます。』

過活動膀胱とは「急に尿意をもよおし、我慢する のが難しい」「トイレが近い」「急にトイレに行き たくなり、我慢ができず尿が漏れてしまうことが ある」などの症状を示す病気です。

膀胱には尿をためる、畜尿という役目とたまった 尿を全部出し切る、排尿という役目があります。

排尿時には膀胱壁の筋肉が収縮し、畜尿期には、 膀胱の筋肉は収縮しません。しかし、尿が少し たまった段階で、大脳の命令を聞かずに膀胱が 勝手に収縮するのが、過活動膀胱の原因と考えら れています。

膀胱内の圧が突然上昇しますので、尿が漏れないよう に意識的に尿道を締めなければなりません。尿道の力 が弱ければ、漏らしてしまうことになります。

膀胱が大脳の命令を聞かずに勝手に収縮する原因に は、脳出血やパーキンソン病のような神経の病気、 前立腺肥大症など尿路閉塞のために膀胱が過敏に なっている場合などがあります。若い人では原因が ない場合もあります。

日本には、人口の12.4%にあたる810万人の 過活動膀胱の患者がいるという疫学調査があります。 図のように加齢に伴い増加します。男女比では男性に やや多いのですが、尿失禁を伴う重症例は、女性に 多く、しかも高齢女性ということが分かっています。 女性は男性より尿道が短いので、膀胱の筋肉が突然 収縮すると尿道の力では抑えきれず、尿が漏れてしま うのです。