泌尿器科医・木村明の日記

木村顔

腎尿管結石・前立腺癌・肥大症の診断が得意な超音波医学会専門医。

GC療法とMVAC療法


私が勤務医だったころの膀胱がんでの化学療法は4種類の抗癌剤 (メソトレキセート, ビンブラスチン, アドリアマイシン, シスプラチン)を用いたMVAC療法でした。

開業してからの11年間、私の膀胱がんでの役目は、診断までです。

手術もしませんし、転移がある症例での化学療法もしません。

私が勤務医だったころの膀胱がんでの化学療法は4種類の抗癌剤 (メソトレキセート, ビンブラスチン, アドリアマイシン, シスプラチン)を用いたMVAC療法でした。

最近は、ゲムシタビンとシスプラチンのGC療法がファーストチョイスのようです。

欧州でGC療法とMVAC療法の比較研究が行われ、2000年に報告されたようです。

生存期間に有意な差はありませんでしたが、重篤な副作用が少ないという結果でした。

この研究がGC療法がファーストチョイスになったきっかけなんだそうですが、実はこの研究、ネガティブスタディーなんだそうです。

GC療法の方がハザード比を0.67下げるという強気の前向きスタディーだったのだそうです。

これだけの症例数で充分有意差が出せるという見込みのスタディーだったのです。

臨床研究をデザインする時は、新しい治療法が従来の治療法よりよいことを証明したいのか、同じくらい有用なことを証明したいのか、はっきりさせて、どれくらい症例数が必要か計算してから始めるのだそうです。

ところで非劣勢を証明するための症例数ってどうやって決めるんだろう。

症例数は少ないほど、有意差は出ないので。

2016年10月4日