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尿の出と勢いを自己チェック



前立腺は、膀胱の出口を包み 込むようなかたちをしています ので、肥大してくると、尿の通 り道が狭くなり、尿の出が悪く なつてきます。
 症状としては、夜間頻尿(夜 何度もトイレに起きる)、昼夜 問わずの頻尿(トイレから戻っ てすぐまた行きたくなる)、尿 失禁(尿を我慢できずに漏らし てしまう)などがみられるよう になります。
ところで、前立腺肥大の目安 に尿の出の悪さがあります。
 尿の出の程度を点数で表す採 点表が診療の場でつかわれてい ますが、ご自分で採点できます ので、排尿の悩みが簡便に客観 的に把握できるので便利です。 採点表を別掲しましたので、そ れぞれの質問項目に答えて合計 点数を出してみましょう。
 7点もしくはそれ以下の点数 であれば軽度、8から18点が 中等度、19点以上は重度の症 状と判定されます。また、15点 以上であれば、診療を受けるほ うがよいと判断されます。ただしこの表はあくまでも主観的なもので 個人差が大きいことも分かっています。
このほかに、自分で判断でき るテストとして、尿の勢いを調 べる方法があります。
トイレに、秒針つきの時計と 計量カップを用意しましょう。 計量カップは、紙コップにご自 分で100ミリリットルと200ミ リリットルのところに目盛りを つけるのでも十分です。
さて、紙コップに排尿して、 出始めから出きるまでの時間を 測ります。そして、尿の量を排 尿の時間(秒)で割ります。
 たとえば、200ミリリットル 排尿するのに30秒かかれば、 200割る30で6・7。つまり、 1秒あたり尿が流れる量(平均 尿流率)は6・7ミリリットル というわけです。
この数字が毎秒5ミリリット ル以上であれば、まず安心です が、5未満だったら、要注意です。

選択肢が増えた薬による治療

 前立腺肥大の治療としては、 まず、薬の服用があります。薬 には、尿の出を良くするものと、 前立腺の肥大を縮めるものの2 種類のものがあります。
 尿の出を良くする薬としては、 私たちの内臓や血管の働きを活 発にする交感神経の働きを抑え て血圧を下げ、前立腺の平滑筋 をリラックスさせて尿道を広げ る作用を持つものがあります。
 また、前立腺の肥大を縮める 薬としては、女性ホルモンの1種のプロゲステロンから作られたものもあります。服用し続ける と、インポテンツ、むくみや発熱などの副作用が現れることがあります。
 また、前立腺の平滑筋をリラ ックスさせる薬の副作用として は、低血圧とそれに伴う立ちく らみやめまいなどがあります。
 しかし、最近、血圧を下げずに 平滑筋をリラックスさせる薬が 何種類も登場してきました。こ のことにより、ホルモン作用が なくて、しかも症状を良くする 薬の選択肢が増えました。前立 腺肥大の薬としては、これまで 述べた2種類のほかに頻尿の改 善を目的としたものがあり、併 用されることが多いのです。
また、前立腺肥大の薬は、服 用をはじめたら生涯服薬する必 要があることも知っておきたい 知識です。
 さて、服薬をしていても肥大 が進み、症状が悪くなる場合に は手術が行われます。現在、行 われている手術のほとんどは、 内視鏡を先端につけた電気メス を尿道から入れて、肥大した前 立腺を少しずつ削り取る方法で す。下腹部を切開して行う手術 はだんだん減って、肥大が大き な場合のみに行われるようにな りました。どちらの手術も健康 保険がききます。

前立腺肥大を防ぐ生活の注意
前立腺肥大を予防する生活の注意(睾丸をとれば別ですが)は今のところ明らかには なっていません。男性ホルモンが多いと前立腺肥大になるので、コレステロールの多 い食事は良くないと言われています。前立腺肥大による排尿障害を防ぐ生活の注意に は、
■アルコールを 控える、
■下半身を冷やさないように( 冷房がききすぎた部屋では特に 注意)、
■排尿を我慢しない、などがあります。
 前立腺肥大はゆっくりと進行 します。気になる症状があれば、 泌尿器科の専門医を受診するよ うにしましょう。