2008年現在、スタンフォード方式を取り入れている施設は日本にありません。鍼治療外来を併設している京都府立医科大学泌尿器科が理学療法を評価しているという点で近い存在と思います。

スタンフォード大学方式による、慢性骨盤痛6日間集中講習会

慢性骨盤痛は1世紀に渡りなぞの病気であった。抗生物質、消炎剤、前立腺マッサージ、手術などの伝統的手法は、この病気の治療にほとんど無力である。 「骨盤の頭痛」という本に、スタンフォード大学泌尿器科の新しい治療法を書いた。これは今までの治療の枠をうち破るものである。新しい治療法は医学行動療法理学療法を組み合わせたもので、慢性骨盤痛の患者のうちのある選ばれたグループにおいて、症状を軽減したりなくしたりするのに成功している。この治療法は、慢性骨盤痛は前立腺の病気ではなく、骨盤底筋の慢性的な収縮が、骨盤内臓器に耐え難い環境を作り出していることが原因である、という理解に基づいている。

これは、内科医、精神科医、理学療法士の協力が必要である点で特殊な治療法である。さらに、治療の最終責任は患者自身にある。成功するかどうかは、「骨盤の頭痛」に書いた体操を長期間行おうという患者の意志にかかっている。薬や手術による通常の治療が医者の協力がほとんど必要ないのと、対照的である。この病気の解決は簡単でもなければ短期間でも終わらない。大変な努力を要するものである。我々の患者は、何年も苦しみ、沢山の医者に会い、通常の治療で良くならなかった人達である.

我々は医師会に働きかけて、医者を教育し、われわれの治療法を教えようとしているが、今のところ、我々のプロトコールを提供できる人は少ない。そのため、このような毎月の講習会を開いている次第です。「骨盤の頭痛」に書いた治療法を効率よくマスターできるように計画された講習会です。

たぶん、この病気の患者さんにとって最も辛いことは痛みや障害のために感じる絶望ではないでしょうか。この問題で人々を助けることが私達に出来れば、症状を和らげるための手段を差し上げることが出来ます。我々の治療法をうまく出来れば、この病気の犠牲者だという気持ちを抱かずにすむようになります。この講習会はそれを可能にすることを目的としています。慢性骨盤痛に関係したストレスなどをコントロールできるようになるという、長い人生を切り替える最初の一歩のお役に立ちたいと思います。治療が成功し、参加者が自宅での体操を続ければ、3,4ヶ月で何らかの症状の改善が見られる。2年以内に症状は確実に減少傾向となる。講習会で提供した手段は、症状の改善を継続するために、使い続ける必要があります。

この講習会は参加者に自宅で行う訓練を指導するものです。少人数で6日間の間に約20時間行います。

講習会の構成は:

プログラムに先だって、スタンフォード大学泌尿器科で個々人の診察を行う。そこでは、参加者の病態を評価し、このプロトコールを受けるのが適切かどうか決定する。

** スタンフォード大学の診察の一部は保険が使えます。どの範囲に使えるかは、講習会予約に先立ってスタッフがお知らせします。

骨盤筋を締める練習をして逆にリラックスする方法を修得するトレーニングが5日間行われる。「逆にリラックスする方法」32レッスンを年間通して行うためのビデオテープの値段も参加費に含まれており、自宅で年間通して行なえるよう、指導を繰り返します。慢性骨盤痛で頻回に起こる悲観的破滅的な考えを減らすこともカリキュラムに含まれている。

参加者は1日、骨盤底に関連したトリガーポイント(特に強く痛みを感じる点で、その場所近辺のみならず離れた場所に関連痛が現れる。筋肉の強張ったところにひときわ痛みが強く感じられる部分を探し出し、指で押す。強さは我慢できる程度で、同じ強さのまま持続的に圧力をかけておくと、多くは1分以内に痛みが感じられなくなる。)をほぐすための理学療法を受ける。パートナー(配偶者?)が協力してくれるなら、パートナーの方に、参加者の治療に必要なトリガーポイントについてお教えします。パートナーの参加費は無料です。自宅で規則的にこの治療を行えるようにパートナーを訓練することが目的です。患者さんにはトリガーポイントを記入した地図をお渡しします。それを自宅近くの理学療法士かパートナーに見せてトリガーポイントをほぐす訓練を自宅で続けてもらいます。

参加者は骨盤痛の他の治療法についても説明を受けます。慢性骨盤痛に関係した、解剖、生理学心理学などについて説明を受けます。骨盤底のヨガと呼ばれる特殊なストレッチの説明もします。食事、運動、セックスについての助言もします。筋膜トリガーポイントのほぐし方の指導がこのカリキュラムの大切な部分です。

診察はRodney Anderson, M.DがStanford Universityで行います。逆にリラックスする方法はDavid Wise, Ph.D.が指導します。 筋膜トリガーポイントのほぐし方はスタンフォード方式を学んだ上級の理学療法士がSan Franciscoの北1時間のところで指導します。

** この治療が適切でないと思われる場合には、他の治療法を検討します。スタンフォード大での診察代以外は頂きません。リラックスのトレーニングと理学療法はカリフォルニアの別の場所で行われ、金銭的にはスタンフォード大とは何ら関係がありません。