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これらの治療法が正しいと、木村が思っているわけでも、これらの治療法を当院(木村泌尿器皮膚科)で行っているわけでもありません。
アメリカ泌尿器科学会機関誌. 2005 7月号;174卷(1号):155-160ページ.

トリガーポイントをほぐす理学療法と逆説的骨盤筋リラックストレーニングの組み合わせによる慢性骨盤痛の治療

Anderson RU, Wise D, Sawyer T, Chan C. ; スタンフォード大学泌尿器科.

目的 慢性前立腺炎・慢性骨盤疼痛症候群の病因に神経行動学的要素があるとの認識が高まっている。 スタンフォード大学が開発した、トリガーポイントをほぐす理学療法と逆説的骨盤筋リラックストレーニングの組み合わせによる 慢性前立腺炎・慢性骨盤疼痛症候群の治療成績を検証した。

対象と方法 従来の治療では治らなかった慢性前立腺炎・慢性骨盤疼痛症候群の患者138人が、泌尿器科医・理学療法士・精神科医による、トリガーポイントをほぐす理学療法と逆説的骨盤筋リラックストレーニングの組み合わせ治療を、1ヶ月以上受けた。

トリガーポイントをほぐす理学療法の方法:筋膜のトリガーポイントを触ると、症状が再現される。
たとえば、前方の肛門挙筋のトリガーポイントを触ると、ペニス先端に痛みを生じる。
前立腺外側の内骨盤筋膜は、骨盤痛を訴える患者で最も多いトリガーポイントである。
お腹の下にクッションをおき、患者にうつ伏せに寝てもらう。前立腺左側の内骨盤筋膜を指圧するには右人差し指を肛門から挿入する。前立腺右側の内骨盤筋膜を指圧するには左手を使う。
我慢できる程度の強さのまま持続的に圧力をかけておくと、1分で痛みが感じられなくなり、トリガーポイントをほぐした状態になる。
これを毎週4週間、隔週8週間行う。

逆説的骨盤筋リラックストレーニングの方法:逆説的という言葉を使っているのは、、リラックスする方法を修得するために、まず骨盤筋を締める練習をするから。
毎日自宅で行うための36のレッスン(それぞれ7-42分)があり、それぞれ、体のいろんな部位の緊張をとるレッスンで、全てが、 同時に骨盤の緊張をとることを目的としている。


NIH症状スコアで評価した。

結果 合計点では72%の患者が中等度以上の改善を認めた。 トリガーポイントをほぐす理学療法と逆説的骨盤筋リラックストレーニングの組み合わせ治療を受けた患者の半数以上が、痛みのスコアと排尿症状のスコアが25%以上減少した。 50%以上改善した人たちに限って検討すると、痛みのスコアは平均69%、排尿症状のスコアは80%改善した。 5回の治療後に25%以上改善した人は、最終成績も良かった。

考察 前立腺炎の原因がはっきりしないため、医者は慢性骨盤疼痛症候群の不幸な男性を試行錯誤で治療している。
筋膜痛は身体のいたるところに起こりうるが、泌尿器科医は今まで骨盤にトリガーポイントがあるとの認識を持っていなかった。
筋膜のトリガーポイントの定義は、骨格筋や筋膜の中にある特に強く痛みを感じる点である。
感染や外傷や感情等により、トリガーポイントが活性化されたと考えて、我々は治療法を構築した。

結論 トリガーポイントをほぐす理学療法と逆説的骨盤筋リラックストレーニングの組み合わせによる治療は、 痛み・排尿症状の軽減において従来の治療より有効で、 慢性前立腺炎・慢性骨盤疼痛症候群の有効な治療法である。