PSA異常の方が前立腺生検を受けるか悩んだ時に読むページ

癌の可能性が高い人だけに日帰り6箇所生検を行っている横浜市都筑区の木村泌尿器皮膚科です。

Q.精液培養が前立腺液の培養検査より感度が高いという文献がでました。
特にブドウ球菌等では精液培養の感度 対 前立腺液培養の感度は、100%対16.1%だったとのこと。(もちろんコンタミもあるのでしょうが)
木村先生もこの掲示板を時々見ておられるようで、大変心強く思っておりますが、
泌尿器科の先生には、是非前立腺炎の患者さんが希望されたら精液培養をしてあげて欲しいと思います。
前立腺液よりも精液の方が情報量が多いのは素人が考えても明らかでしょう。
これまで精液培養を進んでしようとしなかったこと自体不思議です。

A.例の論文自身も
A diagnosis of chronic prostatitis by Gram-positive microorganisms in these patients was only considered when the same microorganism was retrieved in repeated cultures without previous treatment. Only three cases met such criteria (all of whom had negative EPSs).
「グラム陽性菌が原因と認定できるのは3例のみ」と書いています。
「グラム陰性菌の場合は精液で97%、前立腺液で82%の検出率。 283人にグラム陽性菌が検出。精液では全員100%、前立腺液では46人 16%の検出率。 」というのが、この論文のメインの主張ですから、 発見されたグラム陽性菌が病原菌ではないことは、著者は書きたくなかったことだと、 思います。でも、雑誌の編集者につっこまれ、仕方なく書いたことでしょう。
病原菌と認定できる菌に関しては、精液で97%、前立腺液で82% とすれば、そんなに違いがないと思います。病院で常時簡単に 精液採取ができるのなら、精液検査が前立腺液検査に取って代わる事も あり得ると思います。

Q.K先生でいらっしゃいますか?ご返答有り難うございます。
K先生の掲示板で随分救われました。
先の論文についての指摘も的確と思います。さすがK先生。
自分の思いこみも知ることが出来ました。ほんとに有り難うございます。
精液培養が一般的でないのは病院の中で外来で検査できないことがネックのようですね。
納得いたしました。
先生も外来ではやはり精液培養はあまりされてないのでしょうか?
確かに手軽に外来では出来ませんよね。

A.精液培養を受ければ、病気の原因が明らかになる、と思われて、 希望をもたれた方に、ネガティブな意見を書き、怒られるかと 思いましたが、すぐに理解していただき、ありがとうございます。
精液で97%、前立腺液で82% というのは、グラム陰性菌が生えた182人を母集団とした割合であり、 研究対象895人に対する割合は、それぞれ、20%、17%になります。
あまり大きな差ではありませんが、患者さんが希望される場合は、 私は、精液の培養も行っています。前立腺液で見つからない菌が 精液で出た人が少なくとも一人いらしたと思います。
グラム陰性菌が生えた人のうち7割が大腸菌とのことですが、 10人検査をすれば、少なくても1人は前立腺液でも大腸菌が 出てくるはずですが、私の印象では、慢性前立腺炎で大腸菌が 陽性だった人はここしばらく記憶にありません。
すでにどこかで、クラビットやミノマイシンをもらっている人たち だからでしょうか?
2006年8月ごろの【何でも】慢性前立腺炎・慢性骨盤痛【誰でも】での患者Xさんと281さんのやりとりを編集しました。
(2008.7.21)