原体照射法は線源の回転に連動して病巣の形に合わせて照射野を連続的に変えて病巣部に適した線量分布を得る照射法であり, 外部照射の中にあつて最も理想的な方法であるが, 当院ではコンピューターを用いることによつてこれをルーチンに行えるようにした.
本照射法を含め当院では1976年7月から1981年12月までに44例の前立腺癌に対し放射線療法を施行した.
Stage 別症例数は, Aが8例, Bが10例, Cが10例, Dが16例である.
照射法別症例数は, 原体照射が29例, 回転照射が2例, 対向2門照射が8例, 4門照射が1例, 対向2門照射と原体照射の併用が4例である.
副作用としては, Stage A 2例, B2例, C 2例, D1例に下痢等の一過性の軽度のものを認め, C1例, D2例に萎縮膀胱または直腸狭窄を認めた,
後者は原体照射では29例中1例であつたのに対し, 対向2門照射では8例中2例に生じたことになる.
Stage B以上の症例のうち, 36例中26例で前立腺の縮小を認め, 治療前ACPが高値であつた18例中15例でACPの低下を認めた.
ただほとんどの症例で抗男性ホルモン療法を併用した.
Stage Bの2例では, 抗男性ホルモン療法開始前に放射線療法を施行し, 放射線療法だけの近接効果を見た.
前立腺は顕著に縮小し, ACPが高値であつた症例では, 放射線療法後正常値に低下した.