
木村明:健康相談室
すこやかファミリー3月号,30-31,2006.
Q.71歳の母。ここ1年ほど、間質性膀胱炎でとても痛がり、
尿が少しでもたまると痛むとのことで、しょっちゅうトイレに行きます。
膀胱鏡検査も実施しており、がんについても検査で否定されています。
間質性膀胱炎とはどんな病気でしょうか? 薬をのんではいますが、よい治療法
・対処法がないでしょうか?
A.間質性膀胱炎の症状は、排尿痛・残尿感・下腹部痛・頻尿など
で、細菌性膀胱炎に似ていますが、原因は細菌の感染ではなく
、抗生物質は効かない病気です。
膀胱は、尿に接している粘膜、排尿するときに収縮する筋肉、
そしてその粘膜と筋肉の間の間質と呼ばれる部分からできてい
ます。間質性膀胱炎は間質が原因不明の炎症を起こして伸びが
悪くなる病気です。そのため、膀胱容量は縮小します。尿がた
まって膀胱が充満してきたときのほうが下腹部痛は強く、排尿
とともに軽減するという特徴があります。
治療は、頻尿改善薬などの薬物療法を行いますが、膀胱癌でも
、癌化した粘膜が剥がれ落ちて、膀胱容量が縮小することがあ
りますので、膀胱癌でないことを確認する必要があります。
診断と治療を兼ねて麻酔下に膀胱鏡を行います。麻酔下に行わ
ないと低容量のため観察できません。診察台より80cm高くした
容器から膀胱内に水を流し込み、膀胱を拡張させます。膀胱鏡
で粘膜の変化を観察すると、膀胱壁が拡張されると拡張前には
見られなかった粘膜の断裂や点状出血が認められます。膀胱拡
張したまま、3~5分おきます(これを水圧拡張術と言います)
。有効率は50~60% 程度です。
相談されている方のお母さんは、膀胱癌ではないと言われてい
るのであれば、すでに膀胱鏡は終わっていると思われます。水
圧拡張術が効果ない場合は、内服薬で様子を見ていくことにな
りますが、劇的に効く薬がなく、長期間通院されている方が多
い病気です。