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HPV(ヒューマン・パピローマ・ウイルス)感染症

HPVウイルス(ヒューマンパピローマウイルス)は、100種類以上あるイボウイルスのグループを総称する用語です。 パピローマとは乳頭腫のことで、ヒト乳頭腫ウイルスと呼ばれる理由は、このウイルスに感染すると乳頭腫ができることが一般的だからです。

HPV-6・11感染症(尖圭コンジローマ)

尖圭コンジローマは、陰茎・陰部や肛門周囲にできるいぼで、ヒューマン・パピローマ・ウイルス6番・11番の性行為感染症です。
潜伏期間は1~2ヶ月ですが、6ヶ月以上の長期の場合もあり、、感染源を特定できないことも少なくありません。
乳頭状、鶏冠状の特徴的な形態を持つため、視診で診断がつきますが、確定診断は組織学的に行います。
組織学的特徴は、扁平上皮の舌状・乳頭状の増殖を認め、表皮突起部位の顆粒層に濃縮した核と細胞質が空胞化した像 (koilocytosis)がみられます。

治療法には、液体窒素を用い週一回の割合で冷凍治療する方法と、ベセルナクリームを自分で塗ってもらう方法とがあります。
ベセルナクリームは、患者さんが自分で塗る免疫力賦活という自然な方法で尖圭コンジローマを治療する薬です。
ベセルナクリームは樹状細胞という免疫応答細胞を刺激し、インターフェロンαを分泌させ、ウイルスを退治します。
週3回、就寝前に塗っていただきます。いぼにだけすりこむ様に塗ります。そして朝、シャワーで洗い流してください。
副作用は、周辺皮膚の発赤です。塗布部位の洗浄が遅くなるほど起こり易い傾向があります。 塗った後は手指を石鹸で洗浄して下さい。
ベセルナクリームは尖圭コンジローマには適応があって、足の裏の普通のいぼ(尋常性疣贅)には適応がありません。
理由は、足の裏のいぼは角質層が厚く、ベセルナクリームを外から塗っても樹状細胞まで届かないから。
尖圭コンジローマでも角化傾向の強いものはまず液体窒素を用いた治療を併用した方が効果があります。

サイズが揃って規則正しく配列している陰茎のぶつぶつは真珠様陰茎小丘疹
尖圭コンジローマに似ている外観を呈するものに、真珠様陰茎小丘疹というのがあります。
こちらはウイルス感染症ではありませんし、放置しても大きくならないので、治療する必要はありません。


HPV-1・2・4・7感染症(尋常性疣贅)

足の裏の普通のいぼ(尋常性疣贅)は、ヒューマン・パピローマ・ウイルス1番・2番・4番・7番が、小さな傷から皮膚に入って表皮細胞に感染することによって生じたものです。
手足などの傷つく場所によくできます。
足の裏に出来ているとウオノメと間違われやすく、ウオノメの治療をしてしまうと、難治化することがあります。

治療は液体窒素で冷凍凝固します。1週間から2週間に1度の治療が必要です。
尋常性疣贅の表面は角質層で覆われているため、ベセルナクリームを塗っても、効果はありません。

HPV-16・18感染症(陰茎癌・子宮頸癌)


陰茎癌・子宮頸癌は粘膜細胞にヒューマン・パピローマ・ウイルス16番・18番が感染することによって発生します。
ヒューマン・パピローマ・ウイルス16番・18番に対するワクチンが開発されました。
ヒューマン・パピローマ・ウイルスは性交渉によりうつるため、性交渉を開始する前の世代の女性にワクチンを接種すれば、子宮頸癌を予防できると考えられています。
海外では2006年からワクチン接種が開始されていましたが、日本でも、2009年12月22日、ワクチン「サーバリックス」がグラクソ・スミスクライン株式会社から発売されます。