院長が勤務医時代に作ったサイト
自分の血液だけでは無理なので日赤からの輸血も含めて手術しようという事に
Q. 初めまして。是非、お考えを聞かせて頂きたく投稿いたしました。
今、私の父が前立腺癌と診断され、とある癌センターに入院していますが、とりあえず様々な検査の結果、骨に転移なし。膀胱にもなし。
たちの悪い癌ではあるし、手術をしても必ず再発をする。しかし、今は前立腺の中だけにどうにかとどまっているので、手術を15日あたりにするという話でした。そこで手術の為に自分の血液を少しづつ採取し、抗がん剤の点滴をやりながらという形で、手術の日を待っておりましたが、以前胃癌で胃を全てと脾臓の摘出を(13年以上前ですが)しておりますので、普通の人のようには血液が取れませんし、まして抗がん剤もやっていますので、思ったように血液が採取できず、自分の血液だけでは無理なので日赤からの輸血も含めて手術しようという事になったのですが、そこで父が頑固に嫌がりまして、最初と話しが違うし、血液を採ってくれてる先生には2週間待てば、採れると言われただのなんだのとごねた結果、次の日に母と父二人で先生に説明を聞く事となりました。
そこで、今度は結局父の癌は前立腺の中だけでなく外(他の臓器という事ではなく、外側に少しという事でしたが)にも少しついているので、丸々取ることができないし、採っても必ず再発する限りなくDに近いCの状態なので、術後の治療法は手術をしていなくても全く同じだし、かえって手術をすると、尿が垂れ流し状態になったりと後遺症が大変で苦しむことになるから、手術はしないほうが、普通の日常生活もおくれる・・・・というお話でした。
どうして、昨日までは15日に手術。それが普通の流れですといった話だったのに、急にそういう事をおっしゃったのかもちょっとショックでしたし、(最初に手術を決めた時点でそんな事はわかっていたはずの事なのに、その時には、ただ手術するのが流れです。としかおっしゃらなかったのですよ。)それに、父の場合、骨や膀胱などに転移は見られなかったものの、もしかしたら骨に写らないような小さな何ミリかの癌があるかもしれないなどと初めて言われたのです。
今は、父が文句タラタラ騒いだからかしら・・・・などとも考えたりしますが、まさかそんな事で急に事態が変わるわけもないとは思い、私としては、ちょっと混乱しています。
ネットで調べたら、1980年台に入ってからは、前立腺癌の手術がとても進歩し、術中出血も劇的に軽減し、尿道括約筋近傍の神経、欠陥走行の熟知により術後尿失禁の防止にも役立つなどの進歩が見られる。という事でしたが、やはり先生のおっしゃられるように、術後苦しむくらいなら、今は転移が見られなくても、採らずにいたほうがよいのでしょうか・・・??
あと、トータル温熱療法で難治な骨転移にも著効を示し、治療有効率80%なんていうとても魅力的な方法もネットで見ましたが、果たしてどうなのでしょうか??
もし、本当ならやってみたい気もいたしますが。
なんだかとても長くわかりづらい投稿になってしまい、申し訳ございません。
なんせ、先程手術がやっぱりやめになったという話を聞いたばかりで精神的にとてもダメージを受けていますので・・・・。
よろしくお願いいたします。
A.実は、前立腺がんの治療では、標準治療にバラツキがあるのです。治療法として手術、放射線治療、ホルモン療法があります。癌細胞を根絶することを目的とした手術や放射線治療を選ぶか、癌を抱えたまま寿命まで過ごすことを目的としたホルモン療法を選ぶかは、ステージやがんの分化度、患者さんの年齢などを考慮して決めますが、医師によって手術を優先させるか、ホルモ ン療法を優先させるかの考え方が異なっています。はっきり言うと、医師も手術で癌細胞が完全に取りきれるのか、あるいはホルモン療法で寿命が来るまで、癌細胞を押さえこめるのか、自信がな いのが現状です。したがって、手術の適応だと思う患者さんにも、強く手術をすすめることはありません
Q.今日又お医者さんとの話し合いで、結局15日に手術をする事になりました。手術をしてもしなくても、良くなるという先が予測のつかない場合には、とにかく術後に「やはりしなければ良かった」などとクヨクヨと後悔するような患者だと、先の治療にも精神的に大分差し障りが出てくるので、本人の手術を受けるという強い気力が必要な為、父のような神経質で我儘な性格の患者の場合、全てを話して父の決断を求めたという事でした。父も一晩寝ずに考え、色んな人の話を聞いたりして、手術をするのなら今しかできない!というタイミングの時期でもあるので、思い切って、手術をする事のほうにかけてみる事に決めて、気持ちもすっきりとしたようでした。私も前向きに考え、家族で頑張っていきたいと思います。それにしても、こんなに素早くお返事を頂けるとは、思いませんでした。本当にありがとうございました。