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PSA Failureを起こした患者は数年後にレントゲン検査でも再発が確認されることが
Q.2年半前に前立腺根治的全摘手術をしました。
中分化腺がん、限局状態、PSA値は17.1でした。
手術後のPSA値は0.1(限りなく0にではなたった)、半年後には0.3、そして今年の1月は0.8。
手術当初に比べるとすでに8倍で、確実に右肩上がりで上昇してきている。これはいま身体の中で何が起こりつつあるのでしょうか。
PSAと再発、転移の区別かかわりももよくわかりません。それと私のようにPSA Failureの患者のDoubling timeはどのように計算されるのでしょうか。
PSA値が2倍などとそんな単純なものではなさそうで、素人に難しければ概念で結構です。
これは癌研究会・福井巌先生の講演集(日本医事新報no3923)を読みました。よろしくお願いいたします。
A.前立腺全摘するとPSAは0になります。根治手術したにもかかわらず、再発するとその段階で
根治手術は失敗(Failure)であったということになるのですが、PSAの測定技術が進歩して、再発がレントゲン検査などで確認される前に、
PSAの再上昇が見つかるようになりました。これをPSA Failureといいます。PSA Failureを起こした患者は数年後にレントゲン検査でも再発が確認されることが
しだいに明らかになってきている段階です。PSA Failureの患者のDoubling timeも、未治療患者のDoubling timeも、PSA値が2倍になる時間です.ただし、1ヶ月で0.1から0.2になっても、その次の1ヶ月で0.4になるとは限りません.下のページに貼ってあるような、縦軸が対数になっているグラフに1ヶ月後とのPSA値を印して、3,4点の観測値を元に、その近くを通る直線を引いて、その傾きから求めます.日本医事新報no3923を読ませていただきました。PSA Failureの患者のDoubling timeが10ヶ月未満なら転移、1年以上なら局所再発の可能性が高い、というアメリカの論文を紹介されたのだと思います。