
東部53回
我々は当院画像センターのミニコンVAX11/750を用いてコンピューターグラフィックスの手法により,馬蹄鉄腎症例と腎細胞癌症例で、X線CT画像を基にした腎、肋骨、体表の三次元表示を試み,馬蹄鉄腎症例では、両腎の融合の程度や腎門部が前方を向いており回転異常を伴っていることが明瞭に示されること,腎細胞癌症例では、腎と肋骨の位置関係が明瞭に示され、側方から眺めた場合、肋骨が妨げになるかどうか、どの肋骨を切除すればよいかといったことが表示でき,腎摘出術の到達法決定に役立つのではないかとの報告を,第52回日本泌尿器科学会東部総会において行った.
ただ昨年の段階では,医師がミニコン操作に不慣れなこともあって、輪郭入力に数時間を要し、実際の手術に役立たせることができなかったが、その後次に述べるような改良を行い、処理に要する時間が短縮され,手術前に三次元表示が完成し,実際にそれを参考にして手術を行うことが可能となった.
1)ソフトのみの改良で,昨年まで2,3時間かかっていた輪郭入力が1時間たらずとなった.
2)昨年は投影像を表示するための視点の選択にも医師が立会い,トライアルアンドエラーで到達法決定に役立つ角度を探したが,今回は側方(真横),これより前方に向け15度づつ6枚,後方に向け15度づつ4枚の投影像を自動的に求めるようにし,視点の選択に医師が立会うことが不必要となった.15度間隔でもどの肋骨が邪魔になるか示された.
3)作られた投影像はレーザープリンターによりフィルムにプリントされ,これをもとに手術を行った.
実際に三次元表示を参考にして手術を行った症例での,IP,動脈造影,CT,三次元表示画像を供覧した.