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日泌総会84回



経直腸超音波探触子の傾きによる前立腺体積計測値の変動について

東京大分院1),東京大2)
木村明1),奥井伸雄1),北村唯一1),河邉香月2)

(目的)最大横断像(及び最大縦断像)から楕円体で近似して前立腺体積を求める超音波計測法の誤差は,探触子の傾け方に依存する(Kimura et al.Int J Urol 1995;2:252-256).したがって,再現性を高めるためには,走査面を三次元でイメージしながら検査する必要がある.特に,左右径・前後径・上下径とπ/6を乗じる方法の場合には3軸が直交するよう注意が必要である.これら注意すべき事項を,今回は三次元モデルのアニメーションで示した.(対象と方法)正常例5例,肥大症10例,癌5例の前立腺三次元像を,Power Macintosh 8100/80AVと市販のSwivel 3Dという3Dソフトで作成した.スキャナと走査面の模型や,任意の走査面で前立腺を切ったときにできる断面と同じ面積の楕円を左右径を軸として回転させた回転楕円体の模型,その断面の左右径・前後径に,上下径とπ/6を乗じてできる楕円体の模型も作成し,それらが登場するアニメーションを作成した.(結果)回転楕円体は過小評価する傾向があること,探触子を傾け冠状断に近い横断像を取るようにすれば誤差は小さくなること,3軸を掛け合わせてできる楕円体は3軸が直交していないと誤差が大きくなること,などをアニメーションで示すことができた.(考察)前立腺疾患の治療効果判定に用いられる超音波計測による前立腺体積は最近,ハンドスキャナにより撮影された横断像と縦断像から楕円体で近似して求めることが多い.経直腸的走査では前立腺輪郭は明瞭に表示できるので,横断像と縦断像を基に3軸を求め,それらの積にπ/6を乗じて体積を求めるのは,なんら熟練を要さない.しかし3軸を計測する際,3軸が直交しているか留意しながら計測しないと再現性が低くなるが,このことはあまり意識されていないようである.この点を強調するためのビデオを作成した.