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(はじめに)前回我々は,前立腺体積の計測法として,最大横断像を縦断像内に当てはまる様に縮小コピーしたものを5mm間隔で配列した模型(fig.1)の体積で近似する,疑似積層法を提案した1).前回は20例での,積層法との比較を示しただけであったので,今回は,症例数を増やすとともに,走査角度が変化した際の変動の程度2)についても検討した.
(対象と方法)正常例50例,肥大症50例,癌50例での,5mm間隔の連続横断像を用いた.各々の症例で,最大横断面を,その他の横断面の上下径に合わせて縮小したものに厚さ0.5cmを掛けて,足し合わせたものを疑似積層法での体積とした.正常例5例,肥大症5例,癌5例で連続横断像を基に3Dソフトで3),3Dモデルを作成した.このモデルを元々の走査面に対しー45度から+45度まで傾けた架空の平面で切断した(fig.2).その横断面を基に,それを縦断像内に当てはまる様に縮小コピーしたものを5mm間隔で配列した時の疑似積層法の値(fig.3)がどの程度変動するかを調べ,回転楕円体法,3軸を掛け合わせる直方体法での変動の程度と比較した.
(結果)150例での,疑似積層法,楕円体法,直方体法の積層法に対する誤差の平均値±標準偏差(%)は
疑似積層法  楕円体法  直方体法
正常 -6.6±8.8 -31.4±13.6 -15.3±8.0
肥大症 -6.6±8.4 -20.0±19.1 -13.4±8.1
癌 -7.3±11.2 -14.8±26.6 -9.9±9.9
であった.
 15個の3Dモデルでの,走査角度が90度変化したときの変動の程度の平均(%)は
疑似積層法  楕円体法  直方体法
正常 21.8 39.6 31.8
肥大症 17.4 41.2 22
癌 22.4 41.6 28.2
であった.
(考察)疑似積層法は,精度,走査角度への非依存性とも,回転楕円体法,3軸を掛け合わせる直方体法より優れていた.
(文献)1)木村明ほか:超音波医学22,Supple 2:231,1995
2)Kimura A et al:Int J Urol.,2:252-256,1995.
3)木村明ほか:超音波医学22:703-710,1995