

私の著書 「尿の悩みを解決する本」 <教育書籍> (千円) の下書き原稿
側を透析液が毎分500mlの速さで通るようになっています。半透膜は,水分子や塩分,尿素などの小分子は通すが,赤血球や蛋白などの大きな分子や細胞は通さない膜です.そこで、血液中の不要な老廃物や水分が半透膜を通り抜けて透析液側に移動します.きれいになった血液は、血管に刺したもう1本の針から再び体内に戻します。人間の体の中にある約五リットルの血液の三十分の一を毎分取り出してきれいにしてから,戻しているわけです.戻された血液はまだ洗ってない血液と混ざります.その混ざった血液をまた透析器に取り出して洗う訳ですからかなり効率の悪い洗い方です.血液透析では、週3回通院し、1回4~5時間の透析を受けます。四時間に透析器の中で洗われる血液量は,五十リットルにもなります.五リットルの血液を一度全部取り出して,きれいに洗った血液を順次体に返すことができれば,三十分足らずで終わるのですが.
透析の目的は,老廃物の除去と,余分な水分の除去です.老廃物は半透膜を越えて流れ出してくるのを待つしかない受け身の作業ですが,水分は透析器の圧力の調整で能動的に引くことができます.透析開始時に体重が二日間でいくら増えたか量ります.増加分が余分な水分です.透析中に水分を抜く量を機械に命令しておくと,機械は透析液側の圧を血液側の圧より低くして、命令通りに体内の余分な水を抜いてくれます.
日本移植学会では,生体腎移植での臓器提供を血のつながりのある者に,原則として限っています.これは,臓器売買を許さないためです.他人はもちろんダメですし,夫婦や養子も,入籍だけして偽装することもできますので,原則は臓器の提供者になれません.しかし,あくまで,移植に関係する医者の作った学会の取り決めですから,拘束力はありませんし,その取り決めにも,「原則として」という言葉がついていて,個々の扱いは主治医の良識にまかされます.腎臓病になるはるか前から養子であった,という場合などです.
