

私の著書 「尿の悩みを解決する本」 <教育書籍> (千円) の下書き原稿
急性の炎症は侵略戦争.慢性は内戦.
二巻に急性胃炎と慢性胃炎が,三巻に急性肝炎と慢性肝炎が,そして,ここに急性前立腺炎と,慢性前立腺炎が出てきました.
急性とは激しい症状が急に起こるもの,慢性とはそれほど激しくないものが,じわじわと起きて,しかも長く続くもの,といったイメージは,皆さんお持ちのことと思います.
確かに,急性前立腺炎は,ある日突然四十度の高熱を伴う排尿痛と排尿困難で始まるのに対し,慢性前立腺炎は,いつからかはっきりしないが,股の間が重苦しい,痛み止めの薬が欲しいほどではないが,気になって仕事に集中できない,といった程度の漠然とした症状で始まります.
そして,この発病のしかたの違いは,病気のメカニズムの違いでもあります.概して急性の病気はあまりにも毒性の強い細菌に攻撃されたために起こるもので,富国強兵政策の国に突然攻め込まれ,守りきれずに国土を占領される様なものです.これに対し,慢性の炎症はそれほど病原性が強くない菌が,防衛力の低下に付け込んで侵入して起こるものです.隣国にそそのかされて,家老が殿さまに謀反するようなものでしょうか.この慢性の場合は,敵がいなくなった後も,内紛がいつまでも続くことになり,自国の兵隊が庶民を殺すように,防衛軍のはずのリンパ球が細胞を傷つけたりするのです.
