泌尿器科医・木村明の日記

木村顔

腎尿管結石・前立腺癌・肥大症の診断が得意な超音波専門医。

過活動膀胱に処方する薬


膀胱の畜尿を助けるβ3作動薬にはベタニスとベオーバがありますが、血圧上昇の副作用がないベオーバの処方が増えています。

当院に通院中の女性患者(初診・再診を含めて)で一番多い病気は過活動膀胱です。

過活動膀胱とは

「急に尿意をもよおし、我慢するのが難しい」

「トイレが近い」

「急にトイレに行きたくなり、我慢ができず尿が漏れてしまうことがある」

などの症状を示す病気です。

膀胱には、尿をためる‘畜尿’という役目と、 たまった尿を全部出し切る‘排尿‘という役目があります。

排尿時には膀胱壁の筋肉が収縮します。

畜尿期には、膀胱の筋肉は収縮しません。

しかし、尿が少したまった段階で、大脳の命令を聞かずに

膀胱が勝手に収縮するのが、過活動膀胱の原因と考えられています。

過活動膀胱治療薬には、

膀胱筋の収縮を抑える抗コリン剤(トビエースなど)と、

膀胱の畜尿を助けるβ3作動薬(ベタニス、ベオーバ)があります。

ベオーバ発売から1年がたち、長期処方が認められました。

ベタニスに比べたベオーバの利点は、血圧測定が不要なことです。

ベタニスの添付文書の「重要な基本的注意」の項には、

血圧の上昇があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血圧測定を行うこと。

と書かれていますが、ベオーバには、血圧上昇の副作用がないのです。

なので、当院で最近処方するβ3作動薬はベオーバです。

2019年12月30日