泌尿器科医・木村明の日記

木村顔

腎尿管結石・前立腺癌・肥大症の診断が得意な超音波専門医。

モントリオール:途上国での安上がりな発明


2022年11月10日から12日までモントリオールでSIU(国際泌尿器学会)が開催されましたが、 その前日11月9日にもいくつかのセッションが開かれ、

シンポジウム01が無料配信されています。

SYMP-01: Symposium: 10th Symposium on Affordable New Technologies in Urology (SANTU) and 5th Best Affordable New Technologies in Urology Contest (BANTUC)

テーマは、途上国向け、安上がりな発明。

一人目:アメリカのDr.がボランティアでセネガル・モザンビークなどのDr.に手術を指導する話。

パンデミックでZoomやARによる指導に変わった。

ARのシステム(グーグルグラス)は高価だが、旅費・ホテル代より安い。

二人目は途上国側の医師。

途上国ではコストが大事。

ディスポ製品を包む滅菌包装紙などもコストカット。

腹腔鏡のカン子なども安くて使いやすいものを開発したが、

市場に流通させるには、Storzなどのブランド名がないと難しい。

続いて、イノベイションを起こすための鼎談。

若い医者を燃えつないようにするには?

16時半までに帰宅させる。

子どもは16歳を過ぎると親を必要としなくなる。

途上国での国産品(コピー品)の安い装置もコスト上必要。

ただしこの件に関してはフロアから意見(マイクを通してない)。

次はナイジェリアからのダブルJステントの代わりに

Fr.5の経鼻胃管(1ドルしない)を使う話。

帝王切開などで尿管損傷は多いが、ダブルJ抜去には膀胱鏡が必要なので、

経鼻胃管を膀胱経由で恥骨上の創から出しておく。

次はモントリオールに来れなかった演者のビデオ。

TULでの砕石破片の吸引機の工夫。

次はインド人。ダブルJステント抜き忘れを防ぐためのスマホアプリ。

次はモロッコ人。腹腔鏡手術で使う、持針器兼糸切ハサミは機械を交換しなくて済む。

最後は、ダヴィンチのディスポーザブル器機には使用回数に達するとロックされるが、そのロックを外して、さらに使う試み。

2023年6月13日