泌尿器科医・木村明の日記

木村顔

腎尿管結石・前立腺癌・肥大症の診断が得意な超音波専門医。

モントリオール:陰茎癌・精巣癌など


2022年11月10日から13日までモントリオールでSIU(国際泌尿器学会)が開催されました。

11月13日のホットトピック:頻度の低い癌特集が無料配信されています。

HT-05: Hot Topics: Rare Genito Urinary Cancers

レア癌1:陰茎がん

世界共通のガイドラインが作れるほど症例が集まらない。

アフリカ・南アメリカ・インド・東南アジアに多い。

(私の勝手な妄想:熱帯は陰茎が紫外線をあびるのか?)

ネオアジュバンドや免疫チェックポイント阻害剤のトライアルが進行中。

レア癌2:精巣がん

一人目はモロッコのDr.だが、モントリオールに来れず、録画。

二人目はアメリカ(クリーブランド)のDr.。

進行した精巣がんの治療の目標は、緩和でも、生存期間の延長でもなく、完治。

シスプラチンが今も中心。

シスプラチン無効症例には分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤が使われるが効果はあまりない。

有意差を示したRCTはないので、経験豊富なDr.が考察を述べ合うのだが、

客席最前列の二人がマイクを通さずに延々としゃべるので聞き取れない。

レア癌3:副腎腫瘍。

CTをやると4%に副腎腫瘍が見つかる。

15%はホルモン活性あり。

1.7%が副腎がん。

径が6cm以上なら癌の確率は20%。

副腎腫瘍の二人目はインド人で本人はモントリオールに来ていなくてビデオ。

副腎がんの化学療法はシスプラチンを含むレジメ。

免疫チェックポイント阻害剤のトライアルをやるには、どの施設も100例ぐらいしかないので難しい。

レア癌4:腎盂尿管がん。

腎盂尿管内視鏡、さらには生検までやる頻度は少ない。

腎盂尿管全摘の前に内視鏡をやると膀胱内再発が増えるのは確かだが、それは予後には影響しない。

二人目のあいさつは、last day, last session, last speakerで始まり。

答えの出ていない課題。

マイトマイシンゲル塗布による12か月での非再発率は84%。

腎尿管全摘はロボットか開腹かの比較試験も行われているが10年で術式(体位変換)が進化するので比較が難しい。

リンパ節郭清すべきか、腎機能を考えて、シスプラチンの代わりにカルボプラチンを用いるべきか、など。

座長による最後の最後の最後のまとめのトークは、

陰茎癌や副腎腫瘍をまとめる国際会議の紹介。

会場で聞いている人は少ないだろうけど、大丈夫、私も視聴しました。

2023年6月1日